出版社内容情報
貧困問題に社会政策、社会福祉学、社会学、経済学などの研究分野から横断的に多様な方法論で接近し、貧困研究を体系的に提示グローバル経済の展開や技術革新の影響により、貧困が新しい様態をみせている。それにともない貧困研究も進化し、その把握もより緻密で、実証的になり、加えて貧困を多角的、動態的に捉えるようになってきた。
本書は、貧困問題を社会政策、社会福祉学、社会学、経済学などの研究分野から横断的に多様な方法論で接近し、貧困研究を体系的に提示する。
第?部 貧困総論部
第1章 総論――本書の解題と概要(駒村康平)
1 本書の目的:貧困問題を社会で共有する
2 貧困をめぐる最近の動向
3 本書の概要
第2章 貧困と生存権――近世から近代初期における社会意識と実践(冨江直子)
1 憲法第二十五条以前の生存権
2 伝統的共同体における生活保障
3 近世の貧民救済
4 近代における変容と抵抗
5 近代への包摂
6 「生存権」への想像力
第3章 貧困基準――概念上の「絶対」と測定上の「絶対・相対」(山田篤裕)
1 最も利用される測定上の貧困基準:OECD貧困基準
2 概念上の貧困基準
3 測定上の貧困基準と貧困尺度
4 貧困測定で明らかにされたこと・明らかにすべきこと
第4章 貧困研究の系譜(岩永理恵・岩田正美)
1 貧困概念とその測定手法の探求
2 貧困の「量」と「分布」の調査
3 貧困基準とライフサイクルの解明
4 エンゲル法則とエンゲル法則の逆転
5 貧困は相対的?
6 社会的排除、現代の貧困
7 求められる貧困研究の深化
第5章 日本における貧困率の推計(渡辺久里子・四方理人)
1 相対的貧困基準と生活保護基準
2 日本の所得調査について
3 貧困率の国際比較
4 日本における貧困研究の課題
第?部 貧困の原因と様態
第6章 単身世帯と貧困(藤森克彦)
1 単身世帯の増加の実態と将来予測
2 単身世帯の収入や資産状況
3 勤労期における単身世帯の貧困の実態とその要因
4 高齢期における単身世帯の貧困の実態とその要因
5 単身世帯の社会的孤立
6 単身世帯の貧困への対応策
第7章 母子世帯と貧困(田宮遊子)
1 現代社会での貧困リスク
2 母子世帯の状況
3 日本の母子世帯の貧困
4 多元的な貧困
5 生活に困窮している母子世帯の特徴
6 三世代同居と貧困
7 母子世帯の貧困リスク
第8章 貧困の世代間連鎖(駒村康平・丸山 桂)
1 貧困の世代間連鎖研究の様相
2 貧困の世代間連鎖の国際比較
3 貧困の世代間連鎖に関する研究
4 日本における貧困の世代間連鎖に関する研究
5 生活保護経験が与える影響に関する分析
6 貧困の世代間連鎖に対する政策
7 エビデンスに基づく政策の必要性
第9章 就労と貧困(村上雅俊)
1 働いているのに貧困であること(ワーキングプア)と統計
2 ワーキングプアの定義・推計をめぐって
3 ワーキングプア問題に対する政策
4 貧困と統計:日本における課題
第10章 障害者と貧困(百瀬優)
1 障害者の貧困の見えにくさ
2 障害者の所得の状況
3 障害者の貧困率
4 制度にかかわる統計からみる障害者の貧困
5 障害者の貧困にかかわる今後の課題
第11章 介護と貧困(齋藤香里)
1 貧困と高齢者介護
2 貧困と要介護発生率
3 貧困と要介護発生リスク
4 貧困と介護サービス利用
5 貧困と介護関連問題
第12章 過重債務と貧困――金融排除の視点からみた問題の諸相(野田博也)
1 問題化した過重債務
2 金融排除の視点
3 過重債務と貧困
4 過重債務と公的貸付事業
5 金融排除を助長する政策の解明
第?部 貧困への対応
第13章 住居と貧困(阪東美智子)
1 貧困と住居の位置づけ
2 居住権からみた住宅の条件
3 住居の意味と役割
4 住居と健康
5 保障されるべき住居の水準
6 「住宅困窮」の尺度
7 住宅市場から排除される人々
8 社会福祉施設の現状
9 住宅セーフティネット
第14章 貧困と地方自治体の取組み(大山典宏)
1 生活困窮者支援の新たな動き
2 「よい支援(good practice)」とは何か
3 生活困窮者支援における承認概念の価値
文献案内
索 引
橘木 俊詔[タチバナキ トシアキ]
監修
宮本 太郎[ミヤモト タロウ]
監修
駒村 康平[コマムラ コウヘイ]
編集
内容説明
グローバル経済の展開や技術革新の影響により、貧困が新しい様態をみせている。それにともない貧困研究も進化し、その把握もより緻密で、実証的になり、加えて貧困を多角的、動態的に捉えるようになってきた。本書は、貧困問題を社会政策、社会福祉学、社会学、経済学などの研究分野から横断的に多様な方法論で接近し、貧困研究を体系的に提示する。
目次
第1部 貧困総論部(総論―本書の解題と概要;貧困と生存権―近世から近代初期における社会意識と実践;貧困基準―概念上の「絶対」と測定上の「絶対・相対」;貧困研究の系譜;日本における貧困率の推計)
第2部 貧困の原因と様態(単身世帯と貧困;母子世帯と貧困;貧困の世代間連鎖;就労と貧困;障害者と貧困;介護と貧困;過重債務と貧困―金融排除の視点からみた問題の諸相)
第3部 貧困への対応(住居と貧困;貧困と地方自治体の取組み)
著者等紹介
駒村康平[コマムラコウヘイ]
1964年生まれ。1995年慶應義塾大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。国立社会保障・人口問題研究所、駿河台大学、東洋大学を経て、慶應義塾大学経済学部教授、ファイナンシャル・ジェロントロジー研究センター長、博士(経済学)。受賞:日本経済政策学会優秀論文賞、生活経済学会奨励賞、吉村賞、生活経済学会賞など。主な公職:2009‐2012年厚生労働省顧問。2010年‐社会保障審議会委員(生活保護基準部会会長、障害者部会会長、生活困窮者自立支援制度及び生活保護部会副部会長等)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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