内容説明
本書は、現代社会における自己の個人化という現象を認知社会学の視点から考察し、個人化が一様ではなく時代や社会によってさまざまな顔を呈してきたことを明らかにする。はたして個人化の拡張は社会の消失を招くか。
目次
個人化とは何か
第1部 個人化の全体像(個人化と社会の消失―私化・心理化・再帰的個人化をめぐって;心理化の現代的展開;心理化の歴史過程―心理化の起源を求めて;戦後の日本における個人化)
第2部 自己像の変容(人間関係の感情意識化―心理化のもう一つの側面;自己の同一性とその不安定化―個人化と物語論の視点から)
単線的な個人化を超えて―ナショナリズムとコスモポリタニズム
著者等紹介
片桐雅隆[カタギリマサタカ]
1948年生まれ。1978年東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程単位取得退学。その後、大阪市立大学、中京大学、静岡大学、千葉大学を経て、立正大学文学部教授、千葉大学名誉教授、博士(文学)。専攻は社会学理論、自己論、現代社会論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ポレ
8
度しがたい読みづらさ!いかにも純粋社会学でござーいという文章。抽象的な論理展開が多すぎて、頭の中がモヤモヤする。では、読む価値がないのか。いや、そうとは言えない。破り捨てたくなる抽象論を我慢すると、俄然おもしろくなる。そして、日本の社会思想史を、現在に至るまで明快にひもといてくれる。個人的感情として、時代を代表する言論に、香山リカを引用するのはどうなん?と思わなくもないが、社会を見つめるクリアな視界を得られて感謝である。2018/07/11
saiikitogohu
2
「再帰的個人化とは…第一の近代が残した媒介的関係がますます希薄化することで、自己を支えてきた基盤が弱体化し、個人的なリスクや不安が高まり、自己の再帰性が増大する社会である」5「統治性としての心理化…そこでは、さまざまなトラブルが心や精神の語彙によって解釈され対処されるべきとされ、それらの問題が社会的な原因を持つものとして位置付けられたり、その解決が、社会的に指向されたりしない」39「コミットメントがその安定した対象としての場を失い短期化することは、社会への不信を生み…社会的に解決する想像力を奪う」502020/11/15