出版社内容情報
関西広域連合の成果と課題とは。日本内外における災害支援体制を比較分析し、広域災害に有効な理論的枠組み・実践方式を検証。大規模災害において有効に機能する自治体間連携のあり方とは何か。東日本大震災に際し、関西広域連合が行ったカウンターパート方式と、他の支援体制との比較分析や組織的特徴について、行政学、政治学などの視点から広域災害に適用可能な理論的背景を提示。広域連合が有効に機能する条件とは何かについて実証的な解明を行う。人的・予算的リソースの確保や支援協定の検証など多くの示唆に富む提言の書。
巻頭言
はしがき
第?部 理論編
第1章 東日本大震災と協力的ガバナンス――集権的統制システムを超えて(大西 裕)
1 協力的ガバナンス
2 「カウンターパート方式」の位置付け
3 危機管理研究と協力的ガバナンス
4 関西広域連合の成功
第2章 協力的ガバナンスの諸形態とその選択――理論的検討と東日本大震災の実態分析から(曽我謙悟)
1 研究課題としての協力的ガバナンス
2 災害時の協力的ガバナンスについての先行研究
3 災害時の協力的ガバナンスを捉える視点
4 東日本大震災時の協力的ガバナンス:計量分析による解明
5 協力的ガバナンスの検討課題
第?部 関西広域連合の対応分析
第3章 東日本大震災発生時における被災地支援――カウンターパート方式採用と第一次派遣職員を中心に(鶴谷将彦)
1 はじめに:カウンターパート方式の支援とは
2 関西広域連合・首長レベルの取り組み:「カウンターパート支援」の採用決定過程
3 各自治体における初動対応と現地における事務所開設
4 結びにかえて:カウンターパート方式支援の可能性と課題
第4章 カウンターパート方式と府県の役割(北村 亘)
1 はじめに:関西広域連合とカウンターパート方式
2 カウンターパート方式の検証
3 兵庫県と滋賀県での市町の支援活動
4 結語:府県と市町村の協働
第?部 自治体間連携
第5章 災害時相互応援協定は機能したか――被災自治体サーベイを用いた分析(善教将大)
1 問題設定:どのような自治体間連携が機能するのか
2 東日本大震災以後の自治体間連携とその課題
3 被災自治体を対象とする調査
4 実証分析
5 おわりに:さらなる連携体制の構築にむけて
第6章 災害対応現場における職員間調整――南三陸町を事例として(永松伸吾)
1 はじめに:職員間調整における残された課題
2 応援調整に関するこれまでの研究と実践的取り組み
3 南三陸町に派遣された職員の基本属性
4 応援職員の属性と現地での業務概要
5 現場における活動調整の分析
6 結論:応援側における組織内調整力の向上のために
第?部 外国事例との比較
第7章 台湾における防災政策と自治体間連携の展開(梶原 晶)
1 なぜ台湾を見るのか
2 台湾の防災政策
3 921大地震の際の自治体間被災地支援と復旧復興政策
4 結論:今後の日本の防災政策にむけて
第8章 アメリカにおける大規模災害と協力的ガバナンス――連邦緊急事態管理庁(FEMA)の役割に注目して(待鳥聡史)
1 ガバナンス組織の形態選択という視点
2 アメリカ政治の基本構造
3 コーディネーション組織としてのFEMA
4 「日本型FEMA」の可能性
第?部 将来にむけて
第9章 災害対応をめぐる行政組織の編成――内閣府と兵庫県の人事データから(砂原庸介・小林悠太)
1 政府はどのように災害に対応するか
2 中央省庁の防災体制
3 地方政府の防災体制:兵庫県
4 専門家による調整にむけて
第10章 大規模災害時における自治体の協力的ガバナンス――関西広域連合内自治体サーベイの分析より(秦 正樹・宋 一正)
1 南海トラフ地震に対する基礎自治体の支援体制
2 「自治体の災害対応と広域連携支援に関する調査」の概要
3 「支援を求めない」自治体の2つの特徴
4 「支援を求めない」自治体と相互応援協定の関連
5 何が基礎自治体の支援量を規定するのか
6 南海トラフ地震に対する「備え」の様相と課題
索 引
五百旗頭 真[イオキベ マコト]
2017年5月現在ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長、熊本県立大学理事長。
大西 裕[オオニシ ユタカ]
2017年5月現在神戸大学大学院法学研究科教授
内容説明
大規模災害において有効に機能する自治体間連携のあり方とは何か。東日本大震災に際し、関西広域連合が行ったカウンターパート方式と、他の支援体制との比較分析や組織的特徴について、行政学、政治学などの視点から広域災害に適用可能な理論的背景を提示。広域連合が有効に機能する条件とは何かについて実証的な解明を行う。人的・予算的リソースの確保や支援協定の検証など多くの示唆に富む提言の書。
目次
第1部 理論編(東日本大震災と協力的ガバナンス―集権的統制システムを超えて;協力的ガバナンスの諸形態とその選択―理論的検討と東日本大震災の実態分析から)
第2部 関西広域連合の対応分析(東日本大震災発生時における被災地支援―カウンターパート方式採用と第一次派遣職員を中心に;カウンターパート方式と府県の役割)
第3部 自治体間連携(災害時相互応援協定は機能したか―被災自治体サーベイを用いた分析;災害対応現場における職員間調整―南三陸町を事例として)
第4部 外国事例との比較(台湾における防災政策と自治体間連携の展開;アメリカにおける大規模災害と協力的ガバナンス―連邦緊急事態管理庁(FEMA)の役割に注目して)
第5部 将来にむけて(災害対応をめぐる行政組織の編成―内閣府と兵庫県の人事データから;大規模災害時における自治体の協力的ガバナンス―関西広域連合内自治体サーベイの分析より)
著者等紹介
五百旗頭真[イオキベマコト]
1943年生まれ。京都大学法学部卒業、修士(京都大学大学院法学研究科(政治学専攻))、法学博士(京都大学)。現在、ひょうご震災記念21世紀研究機構理事長、熊本県立大学理事長
大西裕[オオニシユタカ]
1965年生まれ。京都大学法学部卒業、京都大学大学院法学研究科博士後期課程退学、博士(法学)。現在、神戸大学大学院法学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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