出版社内容情報
行政からの廃校宣告後、当事者が運営を継続させただけでなく、毎年多くの受講生を集めるまでに規模を拡大させた稀有な事例をまとめた本書は、大阪府高齢者大学校の今までとこれからの展望をまとめたものである。2007年に大阪府から予算打ち切りと廃校を宣告された後、当事者が自らNPO法人を立ち上げ運営を継続し、現在では以前の五倍の受講生を集めるまでに発展した全国でも稀有な団体である。そして、現在は、ボランティアスタッフの有償化等の、より安定した運営のための取り組みを試みつつ、高齢者のためだけではなく社会のために高齢者に何ができるかを模索する等、その活動範囲を広げようとしている。社会保障費削減がますます進む中、高齢者の社会活動のあり方を考える上で有益な一冊。
はじめに
第I部 NPO法人大阪府高齢者大学校のあゆみ
第1章 NPO法人大阪府高齢者大学校誕生前史──大阪府老人大学に押し寄せた行政改革の波(佐藤宏一)
1 30年の歴史をもつ大阪府老人大学
2 行政改革の波が押し寄せる──橋下前知事の行政改革による事業整理
第2章 大阪府からの予算打ち切り・廃校宣告とNPO法人格の取得──市民の手で自立した学習機関として再スタート(佐藤宏一)
1 NPO法人大阪府高齢者大学校誕生秘話
2 NPO法人として独立させる──第一ステージ
3 大阪市教育会館への移動とカリキュラムの充実──第二ステージ
第3章 多様な「学びの仕掛け」の開発と校友会・同窓会の組織化──学習プログラム改革と講座内容の充実(佐藤宏一)
1 高大白熱教室
2 実践研究部による「学習としての社会参加活動」
3 講座のさらなる強化・充実、豊富な講座内容
4 NPO法人における戦略室の役割
5 校友会の立ち上げと展開
第4章 社会的な存在になるための組織改革──さらなるステップアップのために(佐藤宏一)
1 社会への広がり
2 内なる組織の安定化と成長を目指して
第?部 多様な視点からみた高齢者の社会活動
第5章 高齢期の学習をとおした社会参加の可能性──高齢期をいかに生きるか(堀 薫夫)
1 高齢期の学習の意義
2 サード・エイジとフォース・エイジ
3 高齢者学習に関連する二つの理論──継続性理論とSOC理論
4 高齢期における学習を通じた社会参加の意義
5 高齢者の学習を通じた社会参加の可能性への提言
第6章 健康と学び・社会活動の関係──健康科学的見地からみた効果(柴田 博)
1 高齢社会における学びの意味──起こることはすべて想定外
2 高齢者の健康とは何か
3 老化概念の変遷
4 老年学の教育と学習
5 高齢社会に対応していくためのスキルと資格
第7章 高齢期の危機は心構えで乗り越える──ライフイベントの対処法(佐藤眞一)
1 「老い」に出会う
2 ライフイベントと生涯発達
3 ライフイベントと高齢期の危機
4 高齢期の危機は心構えで乗り越える
第8章 社会を支える高齢者へのサポート──多様な福祉サービスが可能にする社会貢献のあり方(陳 礼美)
1 高齢者の社会活動が福祉課題の解決につながる
2 高齢者の社会参加の不平等性がもたらす問題
3 高齢者の社会参加促進のための方策
4 新しい時代・新しい福祉
第9章 プロダクティブ・エイジングに向かって(藤田綾子)
1 高齢期の役割──高齢者が変わる
2 高齢者像の社会的変遷(1970年以降)──社会が変わる
3 超・超高齢社会の高齢者
4 超・超高齢社会の生き方の一つとしての“プロダクティブ・エイジング”
5 プロダクティブ・エイジング志向性を高めるための高齢者大学での学び
6 プロダクティブ・エイジング志向性を創出する要因
第10章 高齢者の高齢者による高齢者のためのNPO活動──アメリカの事例から(柏木 宏)
1 14.78%と26.34%
2 アメリカの高齢化社会の現状
3 アメリカのNPOの概要
4 高齢者ボランティアの現状とメリット
5 政府主導の高齢者ボランティアプログラム
6 高齢者NPOの多様な活動と大きな影響力
7 日本における高齢者のパワーの活用に向けて
第?部 超高齢社会へのNPO法人大阪府高齢者大学校の挑戦
第11章 座談会? 高齢者が今後担うべき社会的責務を考える──学習をとおして地域社会とつながる意義(柏木 宏・佐藤宏一・佐藤眞一・陳 礼美・藤田綾子・古矢弘道・堀 薫夫・三田保則・和田征士)
1 ボランティアで成り立っているNPO法人大阪府高齢者大学校
2 修了後の社会・地域活動の課題
3 社会参加活動とカリキュラム
第12章 座談会? 自分の学習(楽しみ)と社会貢献をつなげるカリキュラム──社会参加促進に向けた挑戦(柏木 宏・佐藤宏一・佐藤眞一・陳 礼美・藤田綾子・古矢弘道・堀 薫夫・三田保則・和田征士)
1 社会参加に結びつくカリキュラム
2 社会参加活動の必要性と課題
3 DDSやKOUDAI AWARDをとおしての社会参加
4 社会参加活動型カリキュラムへ
5 受講生の意識改革に向けて──明日への提言
第13章 NPO法人大阪府高齢者大学校の目指すところ──高齢者が社会をサポートする(和田征士)
1 学習そして実行・実践へ──社会への恩返し
2 元気なシニアの役割と対策
おわりに
索 引
コラム
1 我が人生に悔いは無い
2 私は今
3 私と高大の出会い
4 高大・なにわの宮会「元気な風ふかそう」
5 高大の元気なシニア
6 10周年は高大で……
NPO法人大阪府高齢者大学校[エヌピーオーホウジンオオサカフコウレイシャダイガッコウ]
前身は1979年設立の大阪府老人大学校。2007年に 橋下知事から予算打ち切りと廃校を宣告されたが、その後、大学修了者を中心にNPO法人を立ち上げ地方自治体の支援を受けずに運営を継続し、現在では以前の5倍の受講生を集めるまでに発展。
目次
第1部 NPO法人大阪府高齢者大学校のあゆみ(NPO法人大阪府高齢者大学校誕生前史―大阪府老人大学に押し寄せた行政改革の波;大阪府からの予算打ち切り・廃校宣告とNPO法人格の取得―市民の手で自立した学習機関として再スタート;多様な「学びの仕掛け」の開発と校友会・同窓会の組織化―学習プログラム改革と講座内容の充実;社会的な存在になるための組織改革―さらなるステップアップのために)
第2部 多様な視点からみた高齢者の社会活動(高齢期の学習をとおした社会参加の可能性―高齢期をいかに生きるか;健康と学び・社会活動の関係―健康科学的見地からみた効果;高齢期の危機は心構えで乗り越える―ライフイベントの対処法;社会を支える高齢者へのサポート―多様な福祉サービスが可能にする社会貢献のあり方;プロダクティブ・エイジングに向かって;高齢者の高齢者による高齢者のためのNPO活動―アメリカの事例から)
第3部 超高齢社会へのNPO法人大阪府高齢者大学校の挑戦(座談会1 高齢者が今後担うべき社会的責務を考える―学習をとおして地域社会とつながる意義;座談会2 自分の学習(楽しみ)と社会貢献をつなげるカリキュラム―社会参加促進に向けた挑戦
NPO法人大阪府高齢者大学校の目指すところ―高齢者が社会をサポートする)