出版社内容情報
近代日本文学に燦然と輝く軌跡を残し、「日本人の先生」とも称される漱石。その思考を照らし、人間の〈内的〉な部分を見通す評伝『吾輩は猫である』『坊ちゃん』『草枕』と近代日本文学に燦然と輝く軌跡を残し、「日本人の先生」とも称される漱石。本書は、書き残されたあらゆる文章と着実な証拠のみにもとづいて、漱石の思考内容とその推移を照らし、漱石その人の〈内的〉な部分を見通す評伝である。
序 章 日本人の先生
第一章 七人の親たち
1 夜店にさらされる赤ん坊
2 乱暴な坊っちゃん
3 ダブルバインド・ゲーム
4 殴打しあう父母
5 美しい母娘
6 実父に愛想をつかす
7 母はすべて「夢である」
第二章 “Be studious”(勉強するんだぞ)
1 金之助武勇伝
2 武士に二言なし
3 塩原の殿様
4 好んで漢籍を学びたり
5 漢詩を見る、南画を読む
6 迂路して大学予備門へ
7 長兄との永別
8 美しい囮
9 落第から首席へ
第三章 文科大学の偉物「狂にくみせん」
1 居移気説
2 生徒にして私塾教師
3 「真性変物」米山保三郎
4 子規、絶倒す
5 奇人マードックに食らいつく
6 「F+f」の萌芽とスペンサー
7 心といふ正体の知れぬ奴
第四章 たゞ一本の錐さへあれば
1 嫂の死を句にする
2 善悪二性共に天賦なり
3 「送籍」と「催眠術」の文藻
4 大学院生にして嘱託教員
5 「何かしなければならん」と焦る
6 円覚寺参禅と記者志望の挫折
第五章 松山・熊本の俳人教師
1 松山の中学教師となる
2 俳人「愚陀仏」デビュー
3 結婚して熊本へ
4 剣呑なる「人生」
5 『トリストラム・シャンデー』
6 寺田寅彦に俳句を説く
7 『草枕』の女との交情、鏡子入水
第六章 ロンドンで世界を構想する
1 俳句の進境と東西比較詩論
2 英国留学
3 「自己本位」へのコペルニクス的転回
4 池田菊苗との対話から『ノート』の構想へ
5 『ノート』の哲学――開化ハsuggestionナリ
6 夏目、精神に異状あり
7 「気狂になつて帰つた」?
第七章 東京帝大講師、小説家として登場
1 『英文学形式論』と『サイラス・マーナー』
2 予の周囲のもの悉く皆狂人なり
3 『吾輩は猫である』の誕生
4 ない腕を出してくれ
5 やめたきは教師、やりたきは創作
6 「木曜会」という極楽浄土
7 「一夜」の連句的世界
8 『オセロ』に斬り込む
9 俳句的小説『草枕』の成功
第八章 「烈しい精神」の文学へ
1 「オイラン憂ひ式」もいいが……
2 「暗示」のリレー
3 朝日入社と「文芸の哲学的基礎」
4 時鳥厠半ばに出かねたり
5 「?徊趣味」から「推移趣味」へ
6 「無意識の偽善者」の姉たち
7 「囚はれる」三四郎
8 運河のような小説――『それから』
9 『門』の恋、その「うそ」
10 修善寺の大患
第九章 「描いた功徳」が罪悪を清める
1 博士号辞退問題
2 道徳と芸術の一致――「文芸と道徳」
3 「卑怯」の意味――『彼岸過迄』
4 狂気ふたたび――『行人』の中断
5 「罪」を書いて成仏――『心』
6 「技巧」への囚われ――『道草』
7 語り出す女たち――絶筆『明暗』
8 「則天去私」と「泣いてもいいよ」
主要参考文献
あとがき
夏目漱石略年譜
人名・事項索引
佐々木 英昭[ササキ ヒデアキ]
*2016年10月現在龍谷大学国際学部准教授
内容説明
洞察と僻み、慈愛と狂気。「日本人の先生」の内部に迫る。
目次
序章 日本人の先生
第1章 七人の親たち
第2章 “Be studious”(勉強するんだぞ)
第3章 文科大学の偉物「狂にくみせん」
第4章 たゞ一本の錐さへあれば
第5章 松山・熊本の俳人教師
第6章 ロンドンで世界を構想する
第7章 東京帝大講師、小説家として登場
第8章 「烈しい精神」の文学へ
第9章 「描いた功徳」が罪悪を清める
著者等紹介
佐々木英昭[ササキヒデアキ]
1954年生まれ。1982年東京大学大学院(比較文学・比較文化研究科)修士課程修了。1992年博士(学術)号(東京大学)取得。東京工業大学、名古屋工業大学などを経て、龍谷大学国際学部教員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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