出版社内容情報
分極化が進むアメリカで求められる大統領のあり方とは… 過去60年にわたる大統領の立法活動の精緻な実証分析アメリカでは、大統領が立法を通じて国をまとめる「現代大統領制」が20世紀半ばに確立されたが、今やそれが限界に達している。二大政党の分極化が進行するにつれて、大統領に期待される役割は「行政の長」から「政党の顔」へと移っているため、大統領が超党派的な立法を目指しても、かえって党派間の対立を助長してしまうのである。では、この変化に適応した大統領のあり方とは何か。過去60年にわたる大統領の立法活動の計量分析と6本の事例研究から考察する。
序 章 アメリカ議会の分極化と「現代大統領制」の限界
1 問題の所在:「行政の長」から「政党の顔」へ
2 研究の方法:現代アメリカ政治へのアプローチ
3 本書の主張と構成
第?部 分極化と大統領に関する理論
第1章 二大政党の分極化とは何か
1 アメリカ政党制の歴史と分極化
2 議会の分極化を論じた先行研究
3 小 括
第2章 分極化と大統領の立法活動――本書の理論
1 大統領の立法活動の「成功」に関する先行研究
2 議会中心アプローチ批判
3 大統領の立場表明による議員の党派的行動
4 分極化の進行と大統領の立法活動の成功
5 小 括
第?部 ミクロ・レヴェルの実証分析
第3章 大統領の立場表明と点呼投票の党派性
1 点呼投票の分析に関する理論的検討
2 データ分析
3 小 括
第4章 大統領アジェンダの成否の計量分析
1 大統領の立法活動の手段に関する理論的検討
2 データ分析1:大統領アジェンダが議会で審議される要因
3 データ分析2:大統領アジェンダの成立の決定要因
4 小 括
第5章 大統領の政策アイデアと沈黙とレトリック――第1次クリントン政権の比較事例研究
1 クリントン政権登場の背景
2 中道的なレトリックによる失敗:医療制度改革
3 沈黙と議員個人への説得による成功:NAFTA
4 曖昧な立場表明と保守的なレトリックによる成功:福祉改革
5 小 括
第6章 分極化の程度と大統領の立法活動――異なる大統領の比較事例研究
1 分極化初期の大統領:カーター政権のエネルギー改革
2 大統領の立法活動による分極化の定着:レーガン政権の81年税制改革
3 さらに分極化が進行した時代の大統領:オバマ政権の医療制度改革
4 小 括
第?部 マクロ・レヴェルの含意と結論
第7章 分極化と大統領のマクロ歴史的説明
1 分極化のマクロ歴史的帰結:責任政党政府論を中心に
2 大統領の側からみたアメリカ政党政治の歴史
3 大統領に起因する分極化
第8章 「現代大統領制」を越えて
1 本書の要約
2 今後の研究課題
3 本書の知見がもつ含意
附 論
A アメリカ連邦議会研究における3つの政党理論(第1章)
B 有権者レヴェルの分極化をめぐる論争(第1章)
C 議員のイデオロギーとその測定に関する補足(第3章)
D 点呼投票の計量分析と政策類型に関する補足(第3章)
E 事例研究の方法論と本書の立場(第5章・第6章)
参考文献
あとがき
人名・事項索引
松本 俊太[マツモト シュンタ]
2016年11月現在 名城大学法学部准教授
内容説明
アメリカでは、大統領が立法を通じて国をまとめる「現代大統領制」が20世紀半ばに確立されたが、今やそれが限界に達している。二大政党の分極化が進行するにつれて、大統領に期待される役割は「行政の長」から「政党の顔」へと移っているため、大統領が超党派的な立法を目指しても、かえって党派間の対立を助長してしまうのである。では、この変化に適応した大統領のあり方とは何か。過去60年にわたる大統領の立法活動の計量分析と6本の事例研究から考察する。
目次
アメリカ議会の分極化と「現代大統領制」の限界
第1部 分極化と大統領に関する理論(二大政党の分極化とは何か;分極化と大統領の立法活動―本書の理論)
第2部 ミクロ・レヴェルの実証分析(大統領の立場表明と点呼投票の党派性;大統領アジェンダの成否の計量分析;大統領の政策アイデアと沈黙とレトリック―第1次クリントン政権の比較事例研究;分極化の程度と大統領の立法活動―異なる大統領の比較事例研究)
第3部 マクロ・レヴェルの含意と結論(分極化と大統領のマクロ歴史的説明;「現代大統領制」を越えて)
附論
著者等紹介
松本俊太[マツモトシュンタ]
1976年大阪府生まれ。1999年京都大学法学部卒業。2005年京都大学法学研究科博士後期課程研究指導認定退学。名城大学法学部専任講師。2006年フロリダ州立大学政治学部(Florida State University,Department of Political Science)博士課程修了(Ph.D.)。2015年メリーランド大学政治学部(University of Maryland,Department of Government and Politics)客員准教授(2016年まで)。現在名城大学法学部准教授(2017年4月より教授)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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