出版社内容情報
独立不羈を貫いた言論人、リベラリスト三叉の生涯。
内容説明
竹越与三郎(三叉、一八六五~一九五〇)言論人、歴史家、政治家。民友社同人として『国民新聞』に協力するも、徳富蘇峰と訣別して『世界之日本』を創刊。陸奥宗光に親炙し、西園寺公望の秘書を経て政界に進出した竹越与三郎。『新日本史』『二千五百年史』等の代表作を著す一方、リベラリストとして藩閥や軍閥に抗した生涯を描く。
目次
序章 「文人政治家」晩年の心境
第1章 修学と思想形成―キリスト教・明治啓蒙思想・自由民権論
第2章 民友社時代―青年運動家から政論家へ
第3章 三叉史論の特徴
第4章 開拓社創設と『世界之日本』発刊
第5章 批評家から実践家へ
第6章 大正政変と三叉
第7章 衆院選落選と「日本経済史編纂会」の発足
第8章 貴族院・枢密顧問官の時代
終章 ファシズムに抗して
著者等紹介
西田毅[ニシダタケシ]
1936年大阪府生まれ。1962年同志社大学大学院法学研究科政治学専攻修了。ただちに同志社大学法学部助手に就任、1974年同法学部教授、1988年同法学部長などを経て、同志社大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
2
決して読みやすい評伝ではないが、ジャーナリスト竹越与三郎の生涯を政治と言論の2軸をメインに著述した良書。批評家であり実践家でもあった稀有な人物としての竹越与三郎の姿が浮かび上がる。やはり特出すべきは当時代にあって傑出した「リベラリスト」である点であろう。それは彼の一連の史論からも明らかであるが、国家を第一義とせずあくまで個人に軸を置き、「世界のなかの日本」という視座を終世保持し続けた。自国第一主義ではなく「世界」との比較の中で自国の特異性を案出し、あくまで「進歩」「改良」を目指した彼の姿は今なお色褪せない2024/10/14