内容説明
中谷宇吉郎(一九〇〇~一九六二)物理学者。石川県生まれ。寺田寅彦に師事する。北海道帝国大学赴任後は雪の研究にはじまり霧を消す研究などに取り組み、科学映画、科学随筆でも活躍した。豊富な人脈をもとに時代を駆け抜けた稀代の物理学者の生涯に迫る。
目次
第1章 出生から留学まで(加賀の文化にはぐくまれる;東京で学び、海外へ留学)
第2章 まだ平和な時代に(雪の研究;大活躍の一九三六年;別の潮流 ほか)
第3章 戦争一色の時代に(凍上の研究;低温科学研究所;着氷の研究 ほか)
第4章 貧しくも希望に満ちた時代に(農業物理研究所;科学の啓蒙;水害の研究 ほか)
第5章 新しい世界へ(オスロでの学会;アメリカへ;カナダとアメリカの旅 ほか)
第6章 対立の時代に(アメリカでの二年間の研究生活;米軍研究費をめぐる問題;SIPREとは ほか)
第7章 氷の世界へ(南極観測;グリーンランドへ;書きつづける)
終章 科学研究はどうあるべきか(「基礎科学」をめぐって;「軍事研究」をどう考えるか;「立派な人生だったよ」)
著者等紹介
杉山滋郎[スギヤマシゲオ]
1950年生まれ。東京大学大学院理学系研究科科学史・科学基礎論専攻博士課程満期退学、博士(学術)東京工業大学。現在、北海道大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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シロクマとーちゃん
3
戦前、戦中、戦後を生きぬいた物理学者で、かつ著名な随筆家だった中谷。科学をわかりやすく解説したり、世の中の関心事について独自の視点を表したり、また、軍部や官僚を痛烈に批判したり、さまざまな文章を書いているが、その文体は常に平易で飾るところがない。常に「基礎研究」と「応用研究」の狭間にあり、両者の関係を考え続けた人だった。戦時中におこなった軍事研究をのちに民間の役に立つように発展させていった彼は今日的にいえば「デュアル・ユース」研究を人々のために役立てた人ともいえるだろう。 2016/01/23
やま
2
久方ぶりに読み応えのある本でした。雪の研究で有名な方ですが、その他にも多くの方面に興味を持ち、研究を重ねて見えたのですね。多くの人々と交流を重ね、新しい方法を取り入れ、さまざまなことに興味を抱いて、自分の研究をすすめていた。副題にあるように「人の役に立つ研究」を心がけていたんですね。2016/08/02
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