内容説明
ケアという「優しげで気持ちよさそうな」言葉で表しながら、「困っている人」を顧客として、その主体的な生き方を仕切ってゆく「専門家」のサービス提供のあり方に疑問を投げかける著者が考える、本来の支援のありかた。昨今、よく見かけるようになった意思決定・表明支援を支える思想としてのエンパワーメントと、その展開戦略としてのアドボカシーをよりわかりやすく具体的に解説する。
目次
第1章 アドボカシーとエンパワーメント
第2章 地域包括ケアシステムと支援
第3章 「本人と支援者の相互エンパワーメント」に至るまでの出会い
第4章 エンパワーメントの定義と「本人と支援者の相互エンパワーメント」
第5章 青葉園における「本人と支援者の相互エンパワーメント」の展開と意思決定・表明支援
第6章 西宮市における本人中心の相談支援と意思決定・表明支援
第7章 わが国の法制度の生成過程からみる権利擁護とエンパワーメント
終章 「本人と支援者の相互エンパワーメント」実践の展開
著者等紹介
北野誠一[キタノセイイチ]
1950年生まれ。1983年大阪市立大学大学院生活科学研究科後期博士課程修了。桃山学院大学教授、東洋大学教授を経て、現在、おおさか地域生活支援ネットワーク理事長。西宮市権利擁護センター運営委員長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
22
著者はエンパワーメントの定義を「共に生きる価値と力を高めること」としている。被抑圧者自身が権利を自覚して変革主体として育っていくことはとても重要なこと。そういう意味では、エンパワーメントは自らの人生を自分らしく生きる主人公となるよう、政策主体の変革を始め、社会的資源を活用し援助することが求められているのだとも思える。著者は「本人と支援者の相互エンパワーメント」も大切だとしている。共生的概念は社会福祉を考える上で大切。ただ、自助・互助などの政策に飲み込まれてしまうと危険でもあると感じた。2015/12/18
小出享一
0
北野先生の初めての単著。先生の人生や経験を踏まえて、先生でないと言えないこと、言いたいことを書いてあります。2015/05/03