内容説明
人間の生命を支える農・食・環境をめぐり豊かさと矛盾があふれる昨今、農業においても従来の生産主義からの転換が志向され始めている。本書は、環境と農業をとりまく現状を見渡すとともに、宮城県大崎市における「蕪栗沼ふゆみずたんぼプロジェクト」、伊賀ベジタブルファームでの農業経営、さらに自然栽培という農法がもつ意味と意義を、それぞれの実践者が論じる。
目次
第1章 環境と農業の新たな可能性―食・農・環境をめぐる世界と日本(生命を支える農・食・環境;世界食料危機の時代を生きる ほか)
第2章 渡り鳥と共生する地域づくり―宮城県大崎市の場合(「ふゆみずたんぼ」取り組みの経緯;東北の復興は人と自然の共鳴から ほか)
第3章 未来のために必要なこと―伊賀ベジタブルファームの場合(私はこうして農業に関わるようになった;伊賀ベジタブルファームの取り組み ほか)
第4章 自然栽培の意味と意義―ナチュラル・ハーモニーの場合(自然栽培とは;自然界のバランス ほか)
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
読書実践家
6
自然と共生する農業。マガンという渡り鳥の存在。地域のコミュニティを生み出す農業。そして、インターネットとの結びつきにより、多面的にこれから展開していける分野だと感じた。2016/04/17
S.J.
0
執筆者の一人で、農場を法人化し野菜の有機栽培を事業として成功させている農業者の解説に感銘を受けた。有機肥料は遅効性のため適正使用量の決定が難しいとされる。そのうえ無農薬の選択肢を取ると技術的に更に大きなハンディキャップを負うことになる。故に慣行農法以上の計画性とリスク軽減策が要求される。有機農法で成功するには優れた経営者であらねばならないようだ。彼は産地形成のための組織づくり、国からの補助金の取得にまで貪欲である。理想の実現には情報やお金の流れを掴む必要ある。理想を語るだけの思想家との大きな違いである。2016/06/09