内容説明
いじめ等に表れる学校の問題、子育てや教育についての意識の変化、発達障害への過度の注目、虚偽自白による冤罪事件、震災とその後の生活…。現在の社会で日々生じているさまざまな出来事や現象を題材にして、いま「子どもの世界」と「おとなの世界」で何が起きているのか、そこで私たちはどのように生きていくのかを考える。
目次
1 人間の自然と状況の暴力(子育ては文化が自然と出会うところ;子どもとおとなの奇妙なすれ違い ほか)
2 世界とつながる通路(いじめの構図;同年齢で輪切りにされた集団 ほか)
3 人間の意図と状況の力(「意図」は人の行為をどこまで決めるのか;強いられた「自発性」 ほか)
4 人間という自然との付き合い方(人が避けがたく自然と出会うところ;地震が奪った日常と取り戻すべき日常 ほか)
著者等紹介
浜田寿美男[ハマダスミオ]
1947年生まれ。1976年京都大学大学院博士課程修了。現在、奈良女子大学名誉教授・立命館大学特別招聘教授。川西市子どもの人権オンブズパーソン代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ゆう。
19
人間の子どもは「自然」として出発しながら「人の世」にまみれて育つ。その意味を問いかけ、考えた本だと思います。そのなかで「発達」とは何かが問われなければなりません。著者は、巷で展開されている「発達」はあまりに狭いところで閉じられているように思うと指摘しています。そして「発達」を論じる以上は、「発達」を囲む状況がどのようになっているのかを押さえる必要性を述べます。また「発達」を論じるなかで何か力を身につけることだけが求められることに警鐘をならします。「自然」と「文化」を正しく捉える必要があるのだと思いました。2015/07/18