内容説明
人文地理学を学ぶ人のための入門書―都市、農村・古地図、GIS…様々な切り口から地理を読み解く、初学者必読の本格テキスト。
目次
第1部 地域への地理学のまなざし(都市のなりたち;変動する農村の社会;景観をつくる人々)
第2部 経済活動を空間的に読み解く(農業と食のネットワーク;工業立地変動のダイナミズム;流通システムと消費生活の基盤)
第3部 地理学が映し出す想像力の世界(地政言説から政治を読む;観光空間を文化論的に理解する;地域文化について考える)
第4部 過去と現在を繋ぐ地図(現実世界の歴史地理;想像世界の歴史地理)
第5部 地理学と現実地域の接点(地理情報システムを使いこなす;地理学の公共政策への応用;環境問題への地理学のかかわり)
著者等紹介
竹中克行[タケナカカツユキ]
1966年大阪府生まれ。1998年東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。博士(学術)。現在、愛知県立大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬弐仟縁
26
高橋誠教授:農村像には因習的なイメージがある。イメージが政策誘導するとき、現実の農村を過剰に問題地域と見なしたり、過度に美化したりしてしまう可能性がある。農村は社会変動を経験し、内外の人が地域環境や資源に関わるようになっている(44頁~)。農村経営は利害調整学でもあろう。大城直樹教授:文化地理学の立場から、地域文化の位相を読み解く(第9章)。極めて興味深い。新渡戸稲造の郷土会は1910年代。柳宗悦の民藝運動は20-30年代。小田内通敏の郷土教育運動は30年代(170頁)。柳以外知らなかった。 2015/08/13
らっそ
9
大学専門課程の導入書。専門になると奥行きが深まる。まだしんどくないから、もう少し頑張れそう2020/02/16
icotalien
2
地理学(特に人文系)は含意が多く、読んでいると、まるで新聞を数ヶ月分読んでいるかのようにアイデアが浮かんでくる。 中心は周辺が存在して初めて概念として成立する。 環境・資源・災害の視点、地域復権の視点、ジェンダーやマイノリティなど、人間の再評価の視点。 立地論は「距離」と「拡がり」。距離に対して敏感、取引費用。proximity物理的な近さ, accessibility 利便的な近さ。 外部経済と不経済。集積の長短。 2022/05/31
晩鳥
2
空間上に現れる地理的事象を詳細に調べる、記述することも重要だが、より大切なのは何故そのようなことが起きているのか、どうしてそうなったのかという部分。2020/01/18
Shiki Magata-ma
2
ロードバイクを用いて実地検分を重ねてきて、それを通していろいろ物事を考えた身としては、どのトピックも僕と親和性の高いものばかりだ。旅行が好きな人間は是非読んでほしい。生活をすると言う事は実はすべて地理的な行為なのだ。そう視たとき、各々の行動はどんな性質があり、何が課題なのかを概説する。地理的空間にいる以上、課題を解決するためのアプローチとして、地理学の考え方も必ず必要だ。しかし初学者には非常に新鮮な事柄が多いのは確かだが、いかんせん研究例に日本のものが多過ぎてその分考え方が制約されているのが難点だ。 2016/05/31