内容説明
藤原種継(七三七~七八五)奈良時代末期の公卿。藤原宇合を祖とする式家に生まれ、桓武天皇の報恩意識から栄進した藤原種継。本書では、種継の関わった氷上川継追放、藤原魚名左降事件など朝廷で起った政争を追う。そのなかで奈良時代と平安時代の狭間に長岡京の造営を果たした種継の政治的手腕を史料の少ないなか描く。
目次
第1章 種継の出生と出身
第2章 称徳・道鏡政権成立と式家・種継
第3章 光仁天皇の即位と式家・種継
第4章 光仁朝の式家と種継
第5章 藤原式家主導体制の衰退と種継
第6章 桓武朝の種継
第7章 種継の暗殺事件
著者等紹介
木本好信[キモトヨシノブ]
1950年兵庫県生まれ。1978年駒澤大学大学院人文科学研究科日本史学専攻博士後期課程満期退学。2003年博士(学術)。現在、前甲子園短期大学学長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ほしまめ
1
久しぶりに日本史の本を。 種継の本の割に藤原氏の話がメインになってしまったのが残念でした。この論証でいいの?という部分があったりして、なかなか読み進められませんでした。岸先生の藤原仲麻呂も読み直そうと思いました。2016/04/17
鈴木貴博
0
藤原種継の評伝。といっても種継の前半生は分からないことが多いらしく、藤原仲麻呂時代から長岡京造営時代、そして種継の子が当事者になった“薬子の変”に至る藤原式家の歴史という要素も強い。“種継暗殺事件”が早良親王の怨霊、長岡京の早期放棄と平安京遷都という形で歴史を動かしたとして特筆されることが多いが、それは天武系皇統から天智系皇統に移り、様々な事件が続発する不安定な情勢、そして藤原四家が競い合う中で、桓武天皇の信任を得て力をふるった実力者種継だからこそ、ということがよく理解できた。2018/08/13