内容説明
「学歴社会」はいつ成立したのか―産業構造・就業構造の変化が学校と社会に及ぼした影響を「初期高専生」である著者自らの経験を踏まえ分析する。
目次
本書の課題と主張
学歴社会成立にかんする通念
「労働市場」という用語
学歴社会は「昭和初期」に成立したのか―天野郁夫編『学歴主義の社会史』への初期高専生としての批判
学歴主義の局地的成立(男性)と特定的成立(女性)
近代初期の学校制度
逓信省の「雇」
文官高等試験と女性
自営業の衰退がもたらしたもの
菅山真次『「就社」社会の誕生』の検討
資格制度と学歴主義
著者等紹介
野村正實[ノムラマサミ]
1948年静岡県横須賀町生まれ。1971年横浜国立大学経済学部卒業。1976年東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得。東北大学大学院経済学研究科教授を経て、明治大学特別招聘教授・放送大学客員教授・東北大学名誉教授。『トヨティズム』ミネルヴァ書房、1993年(経済科学文献賞受賞)。『ドイツ労資関係史論』御茶の水書房、1980年(労働関係図書優秀賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きいち
31
硬い論文集だけどとてもおもしろい。著者の顔がはっきり見えて。◇面白さの源は2つ、一つが、静岡の海辺の町からできたての高専に入学した著者が、自らのその経歴と実感をもとに学歴社会の成立を戦前とする説に反駁するところ。もう一つは、それで終わりとせず、自営業の減少という日本社会の質的な変化に注目しそれを学歴社会の成立要因とするところ。◇商売人の息子→高学歴の獲得→企業就職…それは自分の来歴そのもの。自分が社会の変化の文脈に位置づけられる、不思議な快感。◇日本の資格制度の変遷と特徴もおもしろい、自分で掘り下げたい。2016/10/16
かもはし
2
すっきりまとまっており、様々な示唆を与えてくれる良い本2015/01/11