精神病者はなにを創造したのか―アウトサイダー・アート／アール・ブリュットの原点

プリンツホルン，ハンス〈Ｐｒｉｎｚｈｏｒｎ，Ｈａｎｓ〉/林 晶/ファンゴア，ティル【訳】〈Ｆａｎｇｏｈｒ，Ｔｉｌｌ Ｄａｎｉｅｌ〉

ミネルヴァ書房（2014/09発売）

• サイズ A5判／ページ数 462,／高さ 22cm
• 商品コード 9784623070749
• NDC分類 701
• Cコード C3070

内容説明

本書は、一九二二年にドイツの精神科医で美術史家のハンス・プリンツホルンが一五〇余枚に及ぶ図版とともに精神病患者の創作物を紹介した記念碑的著作である。その後、シュルレアリストをはじめ、ヨーロッパの芸術界と文化行政に多大なインパクトを与えた。アール・ブリュット、アウトサイダー・アートの原点の全訳

目次

Ａ　序章
Ｂ　理論の部―造形的創作の心理学上の基礎（造形の形而上学的な意味；表現の欲求と造形傾向の図式論；遊戯本能（活動への衝動）　ほか）
Ｃ　作品群（精神医学上の前書き；対象を欠いた無秩序な殴り書き；秩序への傾向の著しい遊戯的素描（オーナメントとデコレーション）　ほか）
Ｄ　結論と問題点（造形作品に関する個々の考察のまとめ；比較の領域；精神分裂症的造形の特徴　ほか）

著者等紹介

プリンツホルン，ハンス［プリンツホルン，ハンス］ ［Ｐｒｉｎｚｈｏｒｎ，Ｈａｎｓ］
１８８６‐１９３３。ドイツの精神科医・美術史家。ヴェストファーレン地方のヘーマーに生まれ、テュービンゲン、ライプツィヒ、ミュンヘンの大学で美術史と哲学を専攻。１９０９年に美学の博士号を修得し、その後、ライプツィヒとロンドンで声楽の専門教育を始めるが、妻の精神病のために、１９１３年からフライブルクとシュトラースブルクで医学を専攻し、１９１９年に医学博士の学位を修得。１９１４年の第一次世界大戦勃発後、野戦病院で戦時勤務

林晶［ハヤシアキラ］ ［Ｆａｎｇｏｈｒ，Ｔｉｌｌ　Ｄａｎｉｅｌ］
１９４８年鹿児島県生まれ。１９８３年大阪市立大学大学院文学研究科修士課程修了。現在、同志社大学兼任講師

ファンゴア，ティル［ファンゴア，ティル］
１９７７年ドイツ・ハンブルク生まれ。ベルリン・フンボルト大学日本語学科、ボン大学翻訳学科、静岡大学国語学科修了。現在、びわこ成蹊スポーツ大学などでドイツ語講師。翻訳者（産業翻訳、法律、歴史等）（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー

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[保山ひャン]

1922年刊行の本で芥川龍之介「歯車」でも言及があると思しき本。精神病患者の創造した作品を取り上げて、心理学上の理論と、実作の解説、まとめの考察とで成り立っている。理論は、遊戯、装飾、秩序、象徴など。まとめでは、児童画、未開民族の美術、霊媒術、現代アート、さらには東アジア（日本含む！）の芸術との比較、相似が解説されている。中心になるのはやはり10人の患者の症状と作品で、そこが滅法面白い。しかも身近にいそうで親近感もわいた。

2015/06/11