目次
「理論」以前の理論―リベラル・ヒューマニズム
構造主義
ポスト構造主義と脱構築(ディコンストラクション)
ポストモダニズム
精神分析批評
フェミニズム批評
レズビアン/ゲイ批評
マルクス主義批評
新歴史主義と文化唯物論
ポストコロニアル批評
文体論
物語論
エコ批評
十大事件で振り返る文学理論の歴史
「理論」以後の理論
著者等紹介
バリー,ピーター[バリー,ピーター] [Barry,Peter]
ロンドン大学MA。現在、アベリストウィス大学教授。専門はイギリス詩・批評理論
高橋和久[タカハシカズヒサ]
東京大学大学院修士課程修了。現在、東京大学教授。専門はイギリス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
104
グリーンブラッドの『暴君』についての描写がなかなか興味深く、調べたら彼は新歴史主義であると、で、それはなんぞや?という疑問。マンテルを読んでいるとぶち当たるシェイクスピア的バックグラウンド~それは、ティリヤードのシェイクスピア史観に連なるようである。ということでこちらを読んでみた。理論と言うが、とても面白い説明。マルクス主義的理論は、しっくりきたな。膝をうった。2023/01/15
harass
71
文学批評理論の大学向け教科書。個人的に、イーグルトン・カラー・筒井などを読んでいてお手並み拝見と手に取る。各理論の基本概念を巧みに要約し批評の実例を挙げている。現代思想のエッセンスを上手くまとめてあるのはさすがだ。明快な文章に感心する。2009年に出たもので80年代のイーグルトン本以後の新理論、レズビアン/ゲイのクイア理論やポストコロニアル、エコ理論など。よくぞまあそんなことを考えるなと感心。参考文献のリストが非常に豊富だ。分かりやすく網羅的で、新しいスタンダードと名乗るのもおかしくない本だ。おすすめ。2017/06/19
ラウリスタ~
10
フランス由来の文学理論の理解に苦しむという点では、英米の学生向きに書かれた本書は、日本人学生にとっても非常に有効だ。20世紀後半に吹き荒れた各種文学理論を、別々にではなく、大きな時代の流れとして捉えることが出来る。改版による変化(90年代からの)も重要=構造主義の復権(物語論が単独で一章獲得)。13章のエコ批評は新鮮(なぜ急に米詩人ソローが存在感増しているのか)。構造主義、マルクス主義の章がとりわけ勉強になる(他への波及効果から)。リベラル・ヒューマニズム(伝統的文学批評)への反発という大波で俯瞰する。2019/08/02
さえきかずひこ
10
構造主義、ポスト構造主義、ポストモダニズム、精神分析批評、フェミニズム批評、レズビアン・ゲイ批評、マルクス主義批評、ポストコロニアル批評などを中心に様々な文学理論を平易に概説しているが、すべてを理解するのは大変。各章末および巻末の参考文献集が簡明かつ充実していて文学研究者のフレッシュマンにはかなり役立ちそう(邦訳されているものは少ない)。全般的に大学院生以上の水準で書かれているように感じた。2017/10/24
しんかい32
9
超わかりやすい。ただしイギリスの構造主義以降の文学理論がメインなので、それ以前の話はリベラル・ヒューマニズム派をのぞいてかなりバッサリ切ってる。文学理論史十大事件の章は、ポスト構造主義批評の隆盛から没落への流れが語られていて下世話な意味でかなり面白い。ラカン理論を利用した批評はそれ以前のフロイト理論を利用した批評とどうちがうか、といった勘所を外さないのがよい。2014/11/11