内容説明
虐げられた状況の中で発せられる言葉が、自己の存在に囚われている思考を穿つ。このような社会福祉の経験が私と他者との「間」を創設し、そこに福祉哲学が生まれる。本書では、様々な他者や領域との対話を通して展開する福祉哲学の全貌を、体系的に提示する。
目次
経験に基づき根源から問い考える
第1部 福祉哲学の生成(福祉哲学の枠組みとプロセス―仮説の提示;視るべきものを視る―そこで証言を聴く;呻きに応える―苦痛を被る中から立ち上がる思考)
第2部 福祉哲学を実践する(先覚者からの学び―福祉の哲学と思想の継承;社会科学・社会哲学・実践哲学・文学からの学び―経験的次元における思考;現象学を用いて「他者を支援する事象」を学び直す―超越論的次元における思考;本田神父との対話―超越的次元における思考)
第3部 福祉哲学がもたらすもの(社会福祉の原理・目的・本質―福祉思想)
福祉哲学の継承と再生―仮説の検証と今後の課題
著者等紹介
中村剛[ナカムラタケシ]
1963年埼玉県に生まれる。2013年大阪大学大学院文学研究科文化形態論(臨床哲学)専攻。博士後期課程修了。博士(学術)。19年間、社会福祉施設(知的障害者入所更生施設、知的障害者通所授産施設、養護老人ホーム)に支援員、相談員として勤務。現在、関西福祉大学社会福祉学部准教授。専門、福祉哲学、社会福祉原論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
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社会福祉:生活困難/人間らしい暮らしの剥奪/社会からの排除に抗し、社会との適切な関わりの中で人間らしい暮らしを支える営み(5頁)。マーシャルの心温かく、されど頭は冷やかにWarm heart but Cool head(37頁)。現代の福祉経済学に通底する気がする。ブルデュー:社会は生命に意味を与え、人に存在理由を与えるとする(58頁)。ジグレール:ジャングル資本主義とは、不公正、弱肉強食を主体とする資本主義を揶揄。倫理、人間性が省みられない不公正の結果、富者は貧者を食い物にする(100頁)。2015/04/10