内容説明
崎門と呼ばれる日本朱子学、そして近世神道を代表する垂加神道を創始した山崎闇斎。近世前半の日本に生きた闇斎が、いかにして東アジアの思想空間へと向かい、日本を離脱することができたのか。本書では「神儒妙契」をキーワードとして、その軌跡と背景を辿る。
目次
序章 近代日本の闇斎評価
第1章 山崎家の人々
第2章 儒教への目覚め
第3章 「異端」との闘争
第4章 「正統」なる学問の模索
第5章 「啓蒙」という形式の土着化
第6章 「伊勢神道」への傾倒
第7章 「神道」という土着化の達成
第8章 「理論」の再考と修正
終章 東アジアの中の闇斎学
著者等紹介
澤井啓一[サワイケイイチ]
1950年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。早稲田大学文学部助手、恵泉女学園大学教授などを経て、恵泉女学園大学名誉教授。専攻は、近世東アジア思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 1件/全1件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
8
今年が生誕400年、ということで軽くまとめをしたくて再読。最初に読んだのが4年前で、その後江戸や中国の思想についてちまちま読んではきたが、やはり私には闇斎が一番面白い。彼の原点である朱熹の学について勉強もしながら、もう少し神道の方向からも見れるようになれるといいな。2019/03/16
叛逆のくりぃむ
6
野中兼山や保科正之といつた人物との關係がよく描かれてゐる。2014/11/12
kenitirokikuti
5
図書館にて。山崎闇斎の名前は垂加神道と崎門学の創始者として歴史教科書にも出る人物。著作は多いが、朱子学の公式テキストみたいなものばかりで、闇斎が自身を語った文章などはなく、どういうひとだったのかほとんど分からない。一般向けの闇斎の評伝もこれ一冊のみのようだ▲最近、この分野では韓国での日本朱子学研究の成果も使っているそうな。ただ、あちらの視点では当然ながら「垂加神道」に目が届きにくい。2021/07/05
叛逆のくりぃむ
5
山崎闇斎の思想を朱子学ことに朱熹のテクスト読解に即して形作られていることを明らかにしている。初読時は退屈に感じていたが今は面白く思う。2019/03/06
Ohe Hiroyuki
3
江戸時代の始まりに、会津藩主の保科正之に招聘され、多くの門人を抱え、さらには垂加神道を開き、後世に幾ばくも影響を与えた著者の生涯を追った一冊。▼本書は大変に難しい本である。何故なら、彼の伝記という明確な書籍がなく、漢籍、朱子学や陽明学の状況、仏教、日本書記などの日本の古典に触れながら、著者のたくましい想像力によって彼の生涯に追うものであり、本書を読むのに膨大な前提知識が必要である。▼ただ本書を通読することで、彼が実学を意識して生きていたこと、そして当時の世情がよく分かる。折に触れて読めるとよい一冊である。2022/02/15
-
- 和書
- クライマーズ・ハイ