内容説明
井上勝(一八四三~一九一〇)明治期の鉄道専門官僚。幕末の一八六三(文久三)年、英国ロンドンに密航留学し「採長補短」の精神で西欧の近代技術を学び、明治維新直後に帰国、鉄道専門官僚となって近代日本の鉄道システムをつくり上げた井上勝。本書では、その生涯を鉄道の発展と重ね合わせながら実証的にたどる。
目次
第1章 洋学への傾倒と英国留学
第2章 鉄道の創始と鉄道技術の自立
第3章 東西両京間鉄道の敷設をめざして
第4章 私鉄の勃興と東海道線の全通
第5章 日本鉄道の東北延伸と小岩井農場
第6章 鉄道の拡張と鉄道敷設法
第7章 汽車製造会社の設立と経営
第8章 帝国鉄道協会での諸活動
著者等紹介
老川慶喜[オイカワヨシノブ]
1950年埼玉県生まれ。1972年立教大学卒業。1980年立教大学大学院経済学研究科博士課程修了、経済学博士。関東学園大学経済学部専任講師・助教授、帝京大学経済学部助教授、立教大学経済学部助教授を経て、立教大学経済学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
8
桜井俊彰氏の「長州ファイブ」より本書に辿り着く。いやぁ~、この順番でよかった。生涯を予め知っていたので、何とかついて行けたが、予備知識なしだと挫折していたと思う。閑話休題。「鉄道の井上か、井上の鉄道か」と言われるほど鉄道行政に君臨したテクノクラート。その功績に比して、現在の知名度は低い。また、鉄道国有化と私鉄の買収を主張したという減点ポイントも大きい。本書は、彼の生涯を追いかけながら、そのマイナスイメージを払拭し、井上像の更新を目指す。2024/03/10
Ryuji Saito
0
2016年18冊目。2016/02/19
rbyawa
0
d180、“職掌は唯クロカネの道作に候”という言葉が表紙に刻まれているのですが、鉄道の父として薄っすら(主にマニアに)知られ、最近は「長州ファイブ」の一人としても認識されているようなのですが、どうにも知名度低いんだよね、というところから始まったこの本、ものすごく大雑把に言うと日本で最初の東海道線までは全通させて行きました、あんまり口は上手くないのかなって気もしますし、国をバックにしてるあって高圧的なところもあるんだけど、そもそもそういう人じゃなきゃ、複数の権益の中で本当にぐだぐだになってた気もするしなぁ。2013/12/07
Takashi
0
渡英、鉄道敷設と鉄道網の拡大、技術者の養成、小岩井農場や汽車製造会社などの設立など、日本鉄道史の黎明期に最も功績のあった人物であり、「日本鉄道の父」と称される井上勝。にもかかわらず、知名度は決して高いとはいいがたい。本書は一次史料を丹念に読み解き、後世の井上評から距離を置き、ニュートラルに井上勝を評価する。著者の平易かつ的確な文体にも好感を覚える。2021/01/09
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