内容説明
行基(六六八~七四九)奈良時代薬師寺の僧侶。和泉国の出身。民衆寺院・布施屋の建立など教化活動や、橋・ため池を造るなどの民衆福利の事業に取り組む。朝廷は行基集団を危険視して弾圧を加えたが、のち容認し大僧正に抜擢した。畿内に残る寺院や伝承、ため池などの調査結果を丁寧に踏まえ、行基の足跡に迫る。
目次
第1章 若き日の修行と修学
第2章 苦悩と思索の日々
第3章 活動の活発化と国家の弾圧
第4章 活動の高潮と有力者の庇護
第5章 行基流仏教の国家的承認
第6章 行基の思想と現代の行基伝承
著者等紹介
吉田靖雄[ヨシダヤスオ]
1939年中国北京市生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程(日本史学)修了。大阪府立高校教諭、大阪教育大学教育学部講師・助教授・教授を経て、大阪教育大学名誉教授・堺行基の会々長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
moonanddai
8
行基の時代、7世紀後半から8世紀前半にかけては、今でいう高度成長の時代に当たるのかもしれません。三世一身の法などが契機となり田の開墾が進み、それに伴い人や物の流通に必要な施設(福祉施設も含む)の整備が必要になってくる。その動きを支えたというか乗ったのが、行基そしてその信徒たちの精力的計画的専門的な活動、ということなのかもしれません。「古代」は(やはり)相当ダイナミックだったのでしょう。ともあれ、行基の仏教は山岳信仰、そして神祇信仰(特に伊勢信仰)との関係で考えなければならないことを確認させてもらいました。2023/05/29