内容説明
国民国家とは異なる新しい開かれた政治共同体のモデルとされるEU。その背景には、欧州統合は二度の世界大戦への反省に基づいて内発的に進められてきた、との想定があった。本書では、欧州統合を正当化する言説の中で、「アメリカ」や「移民」という他者が重要な役割を果たしたことを解明し、欧州統合の論理を理解するうえで内発的統合史観が抱える問題と、開かれた共同体というイメージの困難性を浮き彫りにする。
目次
序章 ヨーロッパのの構築と国際関係論(悲観論と楽観論;統合の論理)
第1章 開かれた共同体としてのヨーロッパ(国民国家とヨーロッパ;ヨーロッパ構築の「内発性」 ほか)
第2章 ヨーロッパの構築とアメリカ(仏独和解の記号学;台頭するアメリカと衰退するヨーロッパ ほか)
第3章 ヨーロッパの構築と移民・難民(安全保障化論;移民の安全保障化 ほか)
終章 ヨーロッパのジレンマ(開かれた共同体の困難性;閉ざされた共同体の困難性)
著者等紹介
塚田鉄也[ツカダテツヤ]
1976年鳥取県生まれ。2009年京都大学大学院法学研究科博士後期課程修了。博士(法学)。京都大学大学院法学研究科助教、研究員(研究機関)を経て、同志社大学法学部嘱託講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。