内容説明
池田光政(一六〇九~八二)江戸前期の備前岡山藩主。儒学者・熊沢蕃山を登用し、仁政理念に基づいた藩政を展開、新田開発、閑谷学校の開設などを行った光政。岡山藩の基礎を固めた「明君」の治政と人物像に多角的な視点から迫る。
目次
第1章 岡山以前の光政
第2章 光政における「家」と「公儀」
第3章 最初の「改革」と「治国」の理念
第4章 二度目の「改革」と「心学者」たち
第5章 最後の「改革」と光政の蹉跌
第6章 晩年の光政
著者等紹介
倉地克直[クラチカツナオ]
1949年愛知県生まれ。1972年京都大学文学部卒業。1977年京都大学大学院文学研究科博士課程単位修得退学。現在、岡山大学文学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MUNEKAZ
9
江戸時代初期の名君、池田光政の評伝。「治者」としての自覚を持ち、率先垂範で統治に当たる非常に真面目な性格が浮かび上がる内容。ただ自らが正しいと思ったことに突き進む傾向があり、とくに3度目の改革で示した苛烈な廃仏政策は、領民から不興を買い、後継の子・綱政に否定されてしまう。上司として家長として、頼りになるけど、身近にいたら面倒くさい人物だろうなと思いつつ、統治の「責任」とその結果に対する「反省」を重視した姿勢は、名君として伝説化されたのもわかる。遺言もやたら説教じみていて、なんともらしいと思ってしまう。2025/08/30
アメヲトコ
8
「名君」として知られる池田光政の評伝。学問を愛し理念に忠実な実に生真面目な人物で、こまめに自筆の日記を遺すような筆まめさは後世の人間にはありがたい一方で、同時代の上司にはしたくないタイプだなとも思いました。2019/12/05