内容説明
「大正の歌麿」との呼び声高く、美人画の名手として数々の作品を残した竹久夢二。夢二は、アメリカ・ヨーロッパに滞在する中で、いかなる出会いを経て、どのような苦悩や葛藤を抱き、その画業を成し遂げてきたのか。数々の資料と独自の調査をもとに描き出す、筆者集大成の書。
目次
序 島をたつまで
1 ハワイから「加州客中」へ
2 ポイント・ロボスからソーテル村まで
3 リトル・トーキョーの日々
4 ガダループへの道
5 「加州客中」のおわり
6 ヨーロッパ苦行の数々
7 ベルリンを生き抜く
補 行かなきゃよかった台北へ
著者等紹介
袖井林二郎[ソデイリンジロウ]
1932年宮城県生まれ。早稲田大学政経学部卒業。カリフォルニア大学ロサンゼルス校政治学修士、政治学博士(法政大学)。現在、法政大学名誉教授。主著『マッカーサーの二千日』中央公論社、1974年(中公文庫、1976年/改訂版、2003年)。1974年毎日出版文化賞、第6回大宅賞受賞など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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メルセ・ひすい
2
カラー写真8P.著者曰く、人とはある期間外国に身を置くと自分の本質が露わになるとか…白人モデル⇒「モントレイのヌード」…日本での芸者遊び「ノスタルジア」 中国人ヌード「青山川」 風景画西欧 「カーメルの寺院」 「ワイニマの桟橋」「ガダルーブへの道」…「鏡の前」 西欧「扇をもつ女」 「水竹居」 「日本之夜」 布哇から加奈陀 西欧…「大正の歌麿」との呼び声高く、美人画の名手として数々の作品を残した竹久夢二。数々の資料と独自の調査をもとに、彼の生涯と画業を、アメリカ・ヨーロッパ外遊の側面から鮮やかに描き出す。2012/11/17
kaz
0
夢二の訪米、訪欧を丹念に追跡した作品。夢二は、創作意欲の旺盛な時期を過ぎており、慣れない海外で満足のいく仕事をさせるのは非常に困難で、おまけに持ち前の浪費癖もあり、周囲の人々は、かなり苦労させられたものと思われます。 海外渡航を持ちかけ、同行した翁久允が、パトロンではなく、ジャーナリスト、文筆家、小説家、移民文学の開祖であったことも、不運の一つで、現地で意見が分かれ、決別となったことも致し方なしとの思いを強くしました。2013/02/08