内容説明
アメリカの苦悩、EUの混迷、日本の沈滞、そして台頭する新興国…。複雑に錯綜するグローバル化の中で、世界はどこに向かうのか。本書では、現代が直面する問題を、第一線の研究者が整理し、縦横無尽に議論を展開する。
目次
第1部 欧米政治を動かすもの(覇権国家アメリカ;プーチン時代のロシア;西欧政治史の中のEU;EUという民主主義;気候変動防止へのEUの取り組み)
第2部 中国の台頭と東アジア(中国の経済成長戦略とグローバル経済;中国という国家の特質;東アジア共同体の可能性)
第3部 国家への挑戦―テロと現代世界(仏教文化圏の現在;中東の現状とイスラム;テロという「新しい」闘争形態;テロからの新しい世界;日本の進むべき道)
著者等紹介
木村雅昭[キムラマサアキ]
1942年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。京都大学法学部教授などを経て、京都産業大学法学部教授、京都大学名誉教授。京都大学法学博士
中谷真憲[ナカタニマサノリ]
1969年長崎県生まれ。1999年京都大学大学院法学研究科博士課程修了。京都産業大学専任講師などを経て、京都産業大学法学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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キタガワ
2
国際関係に関する座談会をまとめた、充実した内容。座談会が行われたのが2010年の2月ということもあり、やや古さを感じざるを得ないが、歴史の問題など普遍的な議論も多く、楽しませてもらった。内容としてアメリカ、ロシア、EU、中国、東アジア、宗教、テロリズム、そして日本について取り上げられている。といっても各ファクターには相互作用が当然ながら働いているため、全体として一つの議論と捉えることもできる。中国脅威論が大半を占めており、識者がいかに中国を恐れているかがよく分かる。国際関係論に興味があるなら一読に値する。2012/11/05
壱萬参仟縁
1
中谷真憲教授は、商人資本主義、産業資本主義(IC)、金融資本主義(FC 42頁)とあり、IC行詰りでFCに肥大化する(アルファベットは評者)。FCで格差固定されている。世界各地域の政治経済の実態は本書でほぼカヴァーされている。中国に注目すると、権力のトップダウン型(=グラデーション構造)(142頁)。中央集権の悪弊が懸念される。「社会参画仏教」(ベトナム禅僧ティク・ナット・ハン)とは初めて知った(182頁~)。一次産業再興、箱庭伝統文化、格好良さで新しい日本化を(250頁~)に共鳴。文化と社会にも目配り。2013/03/06