内容説明
高度経済成長への道を敷いた政治家の情熱の生涯を、時代背景とともに活写する。
目次
プロローグ―計画的に月給を二倍にするとは、いいもせず
第1章 大蔵官僚へ
第2章 復興に向けて
第3章 五五年体制の成立
第4章 石橋内閣から岸内閣へ
第5章 池田内閣の時代
エピローグ―池田以後
著者等紹介
藤井信幸[フジイノブユキ]
1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院経済学研究科等を経て、東洋大学経済学部教授。博士(経済学、早稲田大学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ジュンジュン
10
講和独立の吉田茂、日ソ国交回復の鳩山一郎、安保改定の岸信介、沖縄返還の佐藤栄作に混じると、池田勇人の「経済政策しかないじゃないか。所得倍増でいくんだ」はちょっと控えめだ。一国の総理が経済成長率を政策の中心に置いたことは、かつて歴史上なかったから(229p)。だが、戦後史を眺めると、池田の存在はとても重要だ。市場経済か計画経済か、積極財政か緊縮財政か、経済成長か社会福祉か、政治から経済へ、戦後日本の転換点に池田は立っている。2024/03/23
heslkst
7
モーニングで疾風の勇人を読んで以来、ちょっと気になっていた人。 所得倍増計画をやったってことくらいしか知らなかったが、この本を見る限り、長期的な目で日本経済を見て、敗戦国の日本の経済の礎を支えてくれた人なんだろうと思った。 アメリカとの交渉も強気で敗戦国な感じは一切なかった。 そんな気概のある政治家が現代にも出で来てくれたらと切に願う。2016/10/26
スズツキ
3
首相在任期よりも着任前からの思想や政策が主。ドッジやシャウプとのやりとりは見所。2014/11/22
トロント
1
池田勇人首相は後世の世論調査においてパワーポリティクス的な業績を上げた首相と比べてやや過小評価されている所があると述べられています。しかしながら経済によってイデオロギーの対立の時代を変えて西側の自由主義陣営としての日本の世界的な地位を確立させた点で最も偉大な宰相の1人であるのは間違いないでしょう。また岸・福田という戦前の統制経済を担ってた系譜とは異なり自由主義経済の力で月給倍増を目指す哲学の違いも興味深かった。
denken
1
下村治が異端の人であったという認識は,それだけ池田勇人が偉大であることを印象付ける。ただ,この伝記を読んでから,だいぶ後に,高坂正堯「宰相吉田茂」の中にある,池田に対する評価を目にしたのだが,それはそれで考えこませられる内容でありました。2012/09/10