内容説明
戦後日本の政党政治はどのように展開したのか。本書では、まず諸政党の勢力変動と政権の担い手の変化という側面から戦後60年間の日本政治を概観したうえで、諸政党の集票構造の変化と政党政治の主要争点の変化という二つの観点から政党政治の変化の要因を究明する。急逝した政治学者による遺稿に、待鳥聡史京都大学教授による2009年総選挙に関する補論を加え、待望の出版。
目次
第1部 戦後60年間の日本政党政治の変化(戦後最初の10年間;戦後政党システムの形成―「55年体制」の成立と展開;ポスト「55年体制」の展開)
第2部 戦後政党政治の変化を促したもの(集票構造の安定と動揺;争点構造と支配イデオロギーの変化)
全体の要約と展望
補論 2009年総選挙と政党政治
著者等紹介
的場敏博[マトバトシヒロ]
1950年滋賀県生まれ。1974年京都大学法学部卒業。1979年京都大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。1980年京都大学法学部助教授。1990年京都大学教授。1992年京都大学大学院法学研究科教授。2003年博士(法学)取得。2009年没(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ア
6
2009年に急逝した的馬敏博氏の集大成に位置付けられる研究書。1993年以降のポスト55年体制期の分析に比重が置かれている。民主党は社会党の後継政党ではなく新しい保守政党であり、議席の拡大は支持の拡大によるものでなく旧勢力の合流によるものであるという指摘になるほどと思った。本書を踏まえ、個人的には、日本において社民リベラルや中道左派がなぜ拡大・安定しないのかが大変気になっている。2024/03/12
yakumomutsuki
1
「政党システム」から戦後日本(1945年以降)の政党政治を分析された的場敏博教授の遺著.政治制度の変化や政策争点で集票構造が変化する,というのは当たり前の話ではあるが,それを「ベタ」な記述として体系立てることは容易ではない.とりわけ,日本の政党政治の不安定さが顕在化してくることを本書では明らかにするのだが,著者の日本民主政治のシニカルな未来予想,そして補論で待鳥教授のそれに対する異論,あるいは山口定やネグリのような「第三の道」を模索するのか,この時代診断の結果を待たずして亡くなられたのは実に惜しい.2012/05/18