内容説明
1954(昭和29)年、教育界に激震が走った。学校での「偏向教育」是正を目的とした「教育二法」が制定されたのである。東西冷戦が続くなか、「山口日記事件」をきっかけに、教育の政治的中立性をめぐる全国的な論争が巻き起こった。論争の舞台は国会に移り、法案として審議されるに至る。その後、教育界においてこの問題は、論争の党派性、イデオロギー対立の象徴として、長らくタブー視されてきた。本書はこの「教育二法」の制定過程を検証し、その歴史的意義を改めて考察する。文部省、日教組、知識人…それぞれの関係者は、何を目指したのか。豊富な史料に基づいた研究成果が、今、明らかになる。
目次
序章 なぜ、「教育二法」研究か
第1章 「教育二法」案の立案過程―国会審議以前における法案作成の経緯について
第2章 「教育二法」と中央教育審議会―教育の政治的中立性をめぐる論議の検討
第3章 第一九回国会における「教育二法」の成立過程―衆参両院文部委員会での審議を中心に
第4章 「教育二法」制定過程における教育関係団体―日本教職員組合の活動を中心に
第5章 教育の政治的中立性をめぐる論議と「世論」―「教育二法」を中心に
補章 文相大達茂雄と「教育二法」
資料編
著者等紹介
藤田祐介[フジタユウスケ]
1975年京都府生まれ。2003年筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。現在、熊本学園大学准教授
貝塚茂樹[カイズカシゲキ]
1963年茨城県生まれ。1993年筑波大学大学院博士課程教育学研究科単位取得退学。博士(教育学)。現在、武蔵野大学教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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