内容説明
権力の発動機関として常に国家と不可分な関係を取り結んできた警察。EUの発足以降、警察の国際ネットワーク化に向けた動きは加速しつつある。警察権力のあり方が国家の枠組みを越えつつある今、国家と不可分な関係にある警察の歴史的再検討が求められている。本書は、ヨーロッパにおける警察システムの特徴や変化を描き出すことで、近代とは何かを考察する。近代のみならず近世や現代を、ヨーロッパ世界のみならず非ヨーロッパ世界を視野に入れることで、警察権力のあり方を多角的に解明していく。
目次
警察の比較研究に向けて
第1部 近世(地域から広域へ 近世ドイツの治安イメージとポリツァイ―廷吏から治安部隊へ;絶対王政期の二つの警察改革 フランス絶対王政期の騎馬警察―マレショーセ研究の射程;公共サービスの転換 一八世紀ロンドンの治安維持―都市の快適さをめぐる公私の交わり)
第2部 近代(現代から照射する遅れた近代 プロイセン警察からナチ警察へ―“現代化”の先取り?;「人権の祖国」の警察 自由・国民・秩序―共和政フランスと警察;社会合意の形成と揺らぎ イギリス警察と「近代」―ボビー神話の形成と崩壊)
第3部 非ヨーロッパ(一九世紀アメリカ警察の腐敗 「政治」から「改革」へ―アメリカ警察の政治的特徴と革新主義時代の改革;国家のゆくえと地域支配 近代日本警察のなかのヨーロッパ―地域・民衆とのかかわり;警察を通じた植民地化 植民地警察はいかにして生みだされたか―日本の朝鮮侵略と警察;英領マラヤ開発と治安維持 植民地統治と警察―一九世紀から二〇世紀初頭のシンガポールでの治安維持)
著者等紹介
林田敏子[ハヤシダトシコ]
1971年生まれ。1999年奈良女子大学大学院人間文化研究科博士課程修了、博士(文学)。現在、摂南大学外国語学部准教授
大日方純夫[オビナタスミオ]
1950年生まれ。1978年早稲田大学大学院文学研究科史学(日本史)専攻博士課程満期退学。1993年博士(文学、早稲田大学)。現在、早稲田大学文学学術院教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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ゲオルギオ・ハーン
cocoro vagabonda