内容説明
社会事業は、その成立過程の中で人々の認識の変化によって、その形も対象範囲も変化してきた。本書では、社会事業に関わっていた人々が、その際に社会事業とその対象範囲をどのように捉えてきたのかを、彼らが持っていた意識に焦点をあてる内在的視点という手法を基に丹念に分析し、「救済」という概念・思想が社会事業を特徴づける「防貧」という形態に制度化されていく過程を明らかにすることを通して社会事業の再カテゴリー化を行い、新たな社会事業史の描き方を提案する。
目次
序章 社会事業史の方法を考えるために
第1章 問題の所在と視点
第2章 社会事業史にみる大河内理論の効用と限界
第3章 社会福祉の歴史記述の整理と分析枠組みの提示
第4章 防貧事業の認識の変化の予兆
第5章 救済事業の二面性―救済事業調査会に対する評価から
第6章 防貧の変遷と貧困に関する2つの解釈
第7章 社会事業論の系譜―1914~1938年の『社会事業』から
第8章 社会事業理論の4類型と方向性―1938~1945年の『社会事業』から
終章 防貧の確立と社会事業理論の形成
補論 社会事業の成立要因の分析枠組み―池田・吉田・池本説をふまえて
著者等紹介
野口友紀子[ノグチユキコ]
1997年東京都立大学卒業。1999年東京都立大学大学院修士課程修了。2008年東洋大学大学院博士後期課程修了、博士(社会福祉学)。現在、長野大学社会福祉学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。