内容説明
19世紀初頭から現在に至るまでの自由主義と帝国の関係とはいかなるものか。本書は、17、18世紀の重商主義時代にさかのぼり、経済史・政治史・思想史等の視点もふまえて、従来の議論を批判的に再検討する。
目次
自由主義と帝国
自由主義帝国の現代―イラク戦争
自由と帝国論の前史―「海の帝国論」と「重商主義」
植民改革論と古典派経済学
進歩的専制支配論―功利主義と植民地統治
自由貿易の帝国主義とコブデン主義
レセフェールと国家干渉―アイルランド飢饉
一九世紀後半の自由主義と帝国
ホブスンの反帝国主義と「帝国主義」
自由主義帝国の実践―コンゴ改革運動
「自由主義帝国」論とインド飢餓
ジョージ・オーウェルの反帝国主義と「帝国主義」
イラク戦争開始の理論―自由主義と大量破壊兵器
著者等紹介
竹内幸雄[タケウチユキオ]
1944年生まれ。1972年明治大学大学院商学研究科博士課程単位取得。2003年商学博士(明治大学)。現在、日本大学商学部教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
0
自由主義と帝国の関係についての日本では少ない文献の一つ。戦前のリベラルの多くが帝国主義者でもあったことが指摘されるが、どうも日本特有の問題ではなく、自由主義というものは元来帝国主義に結びつきやすいものらしい。もちろん、帝国に反対した自由主義者もいるのだが、その理由は民族自決の原則などというものではなく、帝国拡張維持のコストやら国内政治への悪影響。どうやら普遍的な理想という論理自体に帝国と共鳴するものがある。果して、ある種のナショナリズム抜きに自由帝国主義というものに反対しうるのか。2017/08/12