内容説明
明治・大正時代における日本経済界を導く一方で、社会事業に深く携わり、最期まで情熱を注ぎつづけた渋沢。本書は豊富な史料からその歩みと業績を明らかにするとともに、英国、特にチャールズ・ブースと対比させることで、渋沢の活動を評価し、日本社会事業の特質を明らかにしようと試みている。社会福祉史研究としてはもちろんのこと、渋沢栄一研究、またチャールズ・ブース研究においても意義深い一冊。
目次
序章 「時代の人」渋沢栄一と日本社会福祉の黎明
第1章 社会事業活動の思想基盤形成
第2章 社会事業活動および実践理念
第3章 渋沢栄一の目指した社会
第4章 渋沢栄一の福祉思想
終章 繁栄のサスティナビリティへの道
著者等紹介
大谷まこと[オオタニマコト]
1948年北海道小樽市に生まれる。1971年北海道大学法学部卒業。1996年桜美林大学大学院博士前期課程国際学研究科修了。2002年東洋大学大学院博士後期課程社会学研究科修了。2003年博士(社会福祉学)を東洋大学より授与(論文博士)。2007年福山平成大学福祉健康学部福祉学科准教授。2008年福山平成大学福祉健康学部福祉学科教授。10月31日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
3
奥付によると著者は既に他界。二宮尊徳の思想との比較も可能だからである。渋沢の道徳経済合一説がこれである。「事業そのもの以上に国全体のことを優先して考えていく」(74ページ)ことの重要性を指摘しているのは、福澤諭吉の「一身独立して一国独立す」につながる。国民の平等(312ページ~)を志向し、過大な歳出削減をし、政・官の無駄、非効率を批判していた(347ページ)は、選挙舌戦が戦わされようとしている今、選挙民は本著を読んで冷静に判断をしていきたいところである。高橋財政がバブルだったようなものか、どうか。2012/11/21