内容説明
巨匠たちの作品に秘められた謎とはいかなるものか。本書は、日本近代文学を代表する三人の作家―坪内逍遙・夏目漱石・谷崎潤一郎の作品をとりあげ、人間の「情」と「性」をキーに英文学的視点から新たな解釈を試みる。英文学の泰斗が文学の比較研究の方向と可能性を提示する労作。
目次
1 坪内逍遥―新と旧とのはざまで(翻訳文化のはじまり;坪内逍遥とブルワー・リットン―人情論の展開)
2 夏目漱石―文学に生きる(漱石とリットン、ディケンズ―逍遥を超えて;『草枕』―「非人情」を求めて;『野分』におけるカーライルの影;『三四郎』―脱ビルドゥングスロマン;『道草』―「貧乏な親類」)
3 谷崎潤一郎―異端の文学(漱石と谷崎潤一郎―世代の推移;『芸術の一種として見たる殺人に就いて』―翻訳の背景;世紀末と(マゾヒズム)―『グリーブ家のバアバラの話』を中心に
『日本に於けるクリツプン事件』―マゾヒストの殺人)
著者等紹介
松村昌家[マツムラマサイエ]
1929年生まれ。1957年大阪市立大学大学院文学研究科英文学専攻修士課程修了。現在、大手前大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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