ミネルヴァ日本評伝選
西周―兵馬の権はいずこにありや

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  • サイズ A5判/ページ数 229,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784623057740
  • NDC分類 121.6
  • Cコード C0321

内容説明

西周(にしあまね、一八二九~一八九七)啓蒙思想家・教育者。津和野に生まれ、徳川慶喜に軍事顧問として仕える。明治維新後は明六社の啓蒙思想家として、「哲学」という言葉を創るとともに、軍制の整備にも奔走。日本の近代化のために尽力した西周の、新たな人物像を描き出す。

目次

第1章 オランダ留学から幕府目付へ(オランダ留学前史;栄光のオランダ留学;『百一新論』;将軍慶喜の側近として)
第2章 鳥羽伏見の戦いから彰義隊の乱へ(旧幕府軍「戦略」の不在;江戸無血開城;彰義隊の乱;西周、旧藩主に召し出される)
第3章 啓蒙主義的「明六社」の社員として(「明六社」発足の頃;「明六社」を打つ大波;「人生三宝説」;『明六雑誌』の終焉)
第4章 西南戦争から竹橋騒動へ(西南戦争;近代的軍事組織のエートス;「兵家徳行」;「軍人訓戒草稿」;「兵賦論」)
第5章 最晩年(「交詢社」と私擬憲法論争;学士会院・獨逸学協会;中風の足を引きずって)

著者等紹介

清水多吉[シミズタキチ]
1933年会津若松生まれ。1958年東京大学文学部哲学科卒業。1960年東京大学大学院(哲学専攻)修士課程修了。立正大学教授、ニューヨーク・ホウフストラ大学客員教授、東京大学、名古屋大学、早稲田大学等での講師、社会思想史学会代表幹事を歴任。現在、立正大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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白河清風

5
西周(にしあまね)は哲学、芸術、科学などの英語の訳出語を作った人としか知りませんでしたが、この本を読んでいろいろなことがわかりました。西は津和野藩出身で、脱藩した後、蘭学を学び幕府の蕃書調所に勤め、その後オランダ留学を果たします。帰国後慶喜に召され、二条城で大政奉還に立ち合います。明治政府では陸軍省の役人を勤めます。その後、学士会員長、貴族院議員に選ばれます。森鴎外の大叔父に当たります。最大の業績は啓蒙思想家としての活動です。哲学と西洋軍事について、明六社を通じて、論理の幅を広げます。2021/02/08

Theopotamos

3
哲学者、思想家としての西周だけでなく、政治家、軍事家、教育者として領域を縦横無尽に活躍した西周を描いている。明治時代の初期には同じ人がいろいろな領域で活躍しており、西周もその一人であったことが分かった。 本書の最後に西周は新しい知識、事件に遭遇した時にたじろぎ悩みながら考えたという一節があったが、このたじろぎが西周の思想の基礎にある態度なのではと思った。 西周の見識、活躍領域の広さももちろんであるが、この新しい知識や思想を受け入れる際のたじろぎも現代の私たちが学ぶべき態度である。2017/10/23

こと

3
著者の知識量に感じると共に、独特の語り口で新鮮に読めた部分も多数あり。ただ、評伝として読むにはちょっとだったかな・・・?西本人以外についての記述がやや多め、なので西についてはあんまりよくわからなかったような、でも当時の歴史についてはまたひとつ勉強になりました。2014/05/03

Ohe Hiroyuki

2
「哲学」の語を作った文字通り近代哲学の祖である西周の一生の本である▼副題が示す通り、彼は軍事理論家でもあった。蘭学を通して激動の幕末を生き、徳川慶喜の側近(「目付」)にまで出世した。上野彰義隊の戦いも間近で体験し、改封された駿河藩(徳川家)の沼津兵学校の校長をやるというなかなかきな臭い日々を過ごしている。▼彼の見識は、明治新政府においても買われ、軍人勅諭に繋がる文書を起案する。福澤諭吉と「明六社」で共にしつつ、反目するなど哲学者として悩み抜いた一生を送っている。我々より150年早く考えている人ともいえる。2022/06/17

とく

0
幕末は将軍に助言できる程の幕臣として、維新以後は福沢諭吉も所属する明六社のメンバーとして活動した(活躍?とはいかない)啓蒙思想家 西周の伝記である。社会の激変の中で安易な迎合や拒絶反応を取らずに、悩み、たじろぎながら自己の思想を保っていこうとした人物として著者 清水多吉は「近代日本最初の「哲学者」」と西を評価する。同時代の人々の多くは彼のように、目まぐるしい価値観の変化に翻弄されながらも懸命に生きていたのではないだろうか。維新の『英雄』達とは違う等身大の人物の評伝である。2017/12/03

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