内容説明
20世紀のアートが「デザイン」であったのならば、21世紀のアートは「ケア」である―。本書は、ホスピスでの実践、英国の福祉・芸術の動向、障害者の創作の場である「アトリエ・インカーブ」の取材等を通して、アートの側から新たなケアのあり方を模索するとともに、従来のデザインや芸術教育に対して警鐘を鳴らし、次代のアーティストの役割を展望する試みである。
目次
序章 テルミヌスの庭はどこに
第1章 ターミナル・アートの時代
第2章 医術はかつて美術であった
第3章 開かれる「終の住処」―英国の福祉とコミュニティの力
第4章 突き抜けるアート―障害者の自立へ、あるデザイナーの挑戦
第5章 もうひとりのアーティスト、もうひとつのアート
終章 世も末だというまえに
著者等紹介
横川善正[ヨコガワヨシマサ]
1949年金沢市に生まれる。現在、金沢美術工芸大学教授(英国文芸・デザイン史)、アートミーツケア学会理事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ありたま
4
とても共感できるところが多かったけど、難解で理解の及ばない部分もけっこうあった。かなり観念的というか哲学的な話が多く、少し目がすべることもあったな。なんというかわりとエッセイの形に近い本だとも思った。特に後半に差し掛かるにつれその要素が強まったように思える。作者さんがこの本を書かれた当時が60歳ほどで、ターミナルというものについて実感をもって捉えているんだろうなと感じられた。ただ、人の終末に対してロマンティストすぎやしないか、というのはだいぶ感じた。2023/08/24
ぁー
1
ホスピスは逝く人から生きる人に、どのように命を受け継ぐかを提示する場所。必ず人は死ぬ。どのように生きるかを考えながら逝くのがいいのか考えさせられる一冊でした。2021/03/04
華
0
限界と終焉を見つめることについて。「メメント・モリ」は脅し文句ではない、という一文が印象に残った。2012/05/20