内容説明
日本書紀に遺された十六文字の記述。そして万葉集の十三首の歌。そのわずかな痕跡から等身大の「額田姫王」の姿を探し求める旅。
目次
プロローグ 「額田姫王」の実像を求めて
第1章 「額田姫王」の誕生
第2章 宮廷歌人への道
第3章 宮廷歌人としての額田
第4章 宮廷からの退場
エピローグ 等身大の額田は見えたか
著者等紹介
梶川信行[カジカワノブユキ]
1953年東京都生まれ。1981年日本大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。現在、日本大学文理学部教授、博士(文学)。主要著書『万葉史の論 山部赤人』翰林書房、1997年、上代文学会賞受賞ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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MASA123
9
図書館本、すごく勉強になった。年代を追うのがとても難しが、額田王の10代~20代は皇極天皇のもとで活躍、皇極の皇子(弟)の大海人皇子の最初の妃となり、重祚した斉明天皇のもとでも、歌人として活躍。 30代になってからも天智天皇の近江京で宮廷歌人として躍進。その前に、天智天皇の娘と、額田王の交換トレードがあったけど、これはいつかは示されていない。 そして、蒲生野の狩り、その遊行の宴で、額田王の歌に大海人皇子(大友皇子説もある)が返す有名なエピソード。 三角関係とかではなくて大人のお遊びだったとか。 2022/08/28
ゆずこまめ
2
華やかな歌を残したメジャーな歌人なのに、額田王がどんな人で何を考えていたのかはわからない。もっと研究が進むといいな。2021/09/14
くまきん
1
「額田王」が詠んだとして万葉集に遺された十二首の歌(一首は重複)を通して、乙巳の変、百済滅亡、白村江の戦いそして壬申の乱などの激動期の時代を生きた、日本書紀では十六文字の記述のみにある「額田姫王」の生身の姿を追い求めた力作。とかく古代の出来事や人物については謎の部分が多いというよりほとんどを占めているが、それが古代史の魅力そのものと言って良いと思う。わずか数個のジグソーパズルのピースから全体像をつかもうとする行為は、生半可なミステリーを読むよりもワクワクする。ところで、〈人目を憚る恋〉の歌として有名な「野2016/09/03
すいれん
0
歌を中心に人物像が浮かんでくる。堅苦しくなくて、読みやすい。押し付けがましさがないような。するんと言葉が入ってきた。参考文献もできる限り読んでみたい。確かに、熟田津の「にき」が「穏やかな」の意味なのはあのべた凪の海をみれば納得するわ。2015/08/02