内容説明
なぜ陸軍が権力を掌握したのか―田中義一、浜口雄幸、若槻礼次郎、犬養毅…陸軍改革の試み、その意図せざる挫折を描く。初めて解明される政軍関係の角逐。
目次
政党による陸軍統治
第1部 二大政党制と陸軍統治の動揺(田中政友会と山東出兵;相対的安定と破局への予兆―浜口雄幸と宇垣一成)
第2部 政党政治と陸軍統治―その同時崩壊(政党内閣と満州事変;政党内閣の崩壊)
著者等紹介
小林道彦[コバヤシミチヒコ]
1956年埼玉県熊谷市生まれ。1988年中央大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、北九州市立大学法学部教授を経て、同基盤教育センター教授(日本政治外交史)。京都大学博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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バルジ
2
満州事変から515事件に至る政党政治家・軍部上層部の動きを政軍関係という視座を入れながら実証的に論じる。話は山県有朋死後の陸軍権力の空白から始まるが、田中義一は軍政優位の体制を築くと共に自ら政党指導者として乗り出すことで首相による陸軍掌握という近代日本の政軍関係に画期を為す。しかし政友会内の脆弱な党内基盤と天皇の不信の中で張作霖爆殺事件を機に辞職。宇垣も概ね田中の軍政優位路線を継承した。しかし満州事変では軍政側が動揺し軍令側が幣原と連携することで事変拡大抑止に成功。この軍政優位崩壊は政軍関係崩壊を意味した2022/11/17
Takeshi Kubo
0
本書は、タイトル通り、政党政治の崩壊と満州事変をテーマとして扱い、当時の状況を政府と軍部双方の関連性から論じています。当時については、脆弱性を有していた政党政治が満洲事変を鏑矢とする軍部の台頭の前にいとも簡単に崩れ去ったという説明がなされる事が多いと思います。しかし、本書は当時の政治的経済的軍事的視点から事細かに当時の状況を分析する事で、従来から存在するこのような考え方を否定し、なぜ政党政治の崩壊や満洲事変が発生するに至ったのか、その道程についての考えを提示しています。2013/07/11
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