内容説明
EUには加盟せず、16世紀以来永世中立を守り続けるスイス。そして国際的諸機関の本部が置かれ、もっとも安全な国として信頼が寄せられている国でもある。本書は、このスイス独自の国家・社会体制の原型ができあがる過程を、ハプスブルク家の起源からスイス庸兵制の開花、宗教改革の展開までを詳細にたどりながら追究する。
目次
第1部 スイスの独立(ハプスブルク家の起源とその初期所領―初期スイス支配権力の実態;原スイス誓約同盟の結成―ザンクト・ゴットハルト峠の開通を視野に入れて;スイス八州同盟の成立;スイス庸兵制の開花―膨張期スイス史の一側面;シュヴァーベン戦争について―スイス独立の達成)
第2部 スイスの宗教改革(バーゼル市における宗教改革の貫徹;ツヴィングリ、ルターの聖餐論争―マールブルク会談を中心として;第二次カッペル戦争前後―スイス宗教改革の転機;シュトラスブルク市における宗教改革の展開過程)
著者等紹介
瀬原義生[セハラヨシオ]
1927年鳥取県米子市に生まれる。1951年京都大学文学部史学科西洋史学専攻卒業。1956年京都大学大学院(旧制)修了。1966年ドイツ・ハイデルベルク大学、同フンボルト大学(東ベルリン)留学(~67年)。現在、立命館大学名誉教授、元京都橘女子大学教授。文学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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人生ゴルディアス
5
元々独立志向の高かったスイス山岳地帯による同盟。特に同盟はゴットハルト峠の開削作業に伴う連帯感と、峠を介したイタリアへの通商等に関する荷役の利権で結びついていたようだ。また、スイス山岳部は出稼ぎの傭兵稼業に頼るほかなく、戦争稼業に慣れたせいで人心が荒廃し、そのことが新教の胎動につながっていく。また外圧としてハプスブルク家が存在したことも、同盟を拡大する契機になったようだが、宗教改革に至り対カトリックだけでなく、ツヴィンクリとルターの間で派閥争いが行われ、帝国との戦いを経てアウクスブルク宗教和議へ。2023/10/01
rbyawa
0
a113、要するにハプスブルク家の台頭というか発生とともにそれに対抗するような形にて少しずつ周辺地域が協力し合い、神聖同盟としてスイスの原型が出来て、その後、南ドイツ地域の産業の発展にて傭兵業が発達し、プロテスタント宗教改革の流れによって「新教と旧教の共存」を謳い上げた人物の手によって幾度かのカソリックとの戦いと揺り返しがあったものの、最終的に落ち着くところに落ち着いた、という内容で、正直難易度は高かったです…初心者向けではないですね。2010/06/09