内容説明
本書は、環境政策における複数政策手段(税、排出量取引、補助金、直接規制)の組み合わせである「ポリシー・ミックス」の理論的・実証的研究をテーマとしている。これらの研究によって、主として気候変動政策を中心に、複数のポリシー・ミックスについて相互比較をするための共通要件が一定程度、形成されてきた。今後は、その定性的・定量的分析の結果に基づいて、よりよいポリシー・ミックスを求めて、その客観的評価基準を構築することが課題となる。
目次
環境政策におけるポリシー・ミックスの分析の意義―本書の問題意識とその構成
第1部 ポリシー・ミックスの理論(「環境政策におけるポリシー・ミックス論」再考―ポリシー・ミックスの意義・利害得失・課題;温暖化対策税を中心としたポリシー・ミックスの考え方―より意味のある組み合わせのために;温暖化対策におけるポリシー・ミックス―国内排出量取引、協会、環境税;環境補助金とポリシー・ミックスの政治経済学―環境政策選択と環境補助金)
第2部 排出量取引制度の理論と実際(日本の温室効果ガス削減対策の課題―欧州排出量取引制度と日欧の企業行動に着目して;重層的ガバナンスと政策変化―ドイツにおける排出枠取引制度導入を事例に;複数政策と排出権取引の効率性―買手市場支配力影響の検証)
第3部 技術革新とポリシー・ミックス(環境政策手段の選択と技術革新―企業と政府の役割;再生可能エネルギー政策評価論―ドイツFIT(固定価格制度)を事例として
スウェーデンにおける環境保全投資助成プログラム―技術普及を促進したか?)
第4部 地方環境税を中心とするポリシー・ミックス(産業廃棄物税を中心としたポリシー・ミックス―その意義と課題;流域ガバナンスと水源環境保全―森林・水源環境税の「費用負担」と「参加」が示唆するもの;森林・水源環境税の政策手段分析―神奈川県の水源環境税を素材に;森林環境政策の政府間機能配分論とポリシー・ミックス―森林環境税を中心に)
ポリシー・ミックス分析の発展に向けて―その展望と課題
著者等紹介
諸富徹[モロトミトオル]
1968年生まれ。京都大学大学院経済学研究科博士課程後期経済政策専攻修了。現在、京都大学大学院経済学研究科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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