内容説明
「経済学とは諸目的と希少な諸手段との間の関係に関する科学である」という、どちらかと言えば殺風景な経済学の定義によって著名な著者は、しかし、若き日に社会主義者に憧れながら、その非合理性に幻滅して、ロンドン大学に入学。1930年代にハイエクを迎えてロンドン学派の創設に尽くし、ヒックス、カルドア、ラーナー等の俊秀を育てる。ケインズとの角逐と交流、新厚生経済学の創造、戦時内閣経済局長等々を歴任する。ケインズと並んで現代イギリス経済学の形成に深く関わった自由主義経済学者の生涯と交流を描いた誠実な自伝。
目次
第1章 少年時代
第2章 一九一四年から一九一八年
第3章 混乱した目標
第4章 ロンドン・スクール―一九二〇年から一九二三年
第5章 ロンドンとオックスフォード―一九二三年から一九二九年
第6章 一九三〇年代のロンドン・スクール
第7章 出版と論争―一九二九年から一九三九年
第8章 戦時内閣官房経済部
第9章 戦後計画
第10章 学究生活再開―一九四六年から一九六一年
第11章 芸術行政
第12章 ブラッケン・ハウスと公的諸問題
著者等紹介
田中秀夫[タナカヒデオ]
京都大学経済学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
1
ラスキンの『ムネラ・プルウェリス』(政治経済要義論)は、婚約時代、父が誕生日に贈った本だとのことである(8ページ上段)。現代では文化経済学の古典という位置づけが池上惇先生によってなされている。「経済学は、分析的経済学の技術的装置に依存している。しかし、政治経済学は、経済学の外部で形成される諸目的を実現するための立案を吟味することに、この技術的装置を応用する」(『経済計画と国際秩序』1937年)(163-4ページ)。技術的装置が機能してきたかどうか。現代において経済学は有効か、否か。書名からすれば必要な本。2012/10/24
メルセ・ひすい
1
自己の体験から 悪書を読むと非常に悪い!影響がある。2009/11/01