内容説明
近代日本を代表する慈善事業家である石井十次。ミュラー等英国のキリスト教慈善事業に影響を受けたその思想と実践は、日本の近代化過程のなかでどのように展開されていったのだろうか。日誌・書簡を含む関連史資料の考察から、石井の内面的エートスに注目しつつその独自性をたどるとともに、社会的文脈のなかで、また関係者との交流史のなかでその思想と実践、その意味を捉え直す。
目次
研究の視点と方法
第1部 近代日本の慈善事業とその背景(棄児養育米制度と慈善事業―伝統と近代;近代日本におけるキリスト教受容の特質と慈善事業)
第2部 岡山孤児院の創設と関連事業の諸相(岡山孤児院の創設と組合系教会形成―岩村加次郎と石井十次;孤児院学校の成立とその後の展開;岡山孤児院と監獄改良事業―渡辺亀吉と石井十次;孤児教育実践と地域振興事業の連続性;救済事例に見る岡山孤児院事業の展開;岡山孤児院の里預児事業について)
第3部 石井十次の思想と実践の変容過程(炭谷小梅と石井十次―石井発小梅宛書簡の検討;徳富蘇峰と石井十次―岡山孤児院事業と天皇制国家との関係;石井十次による伝道事業と慈善事業の関係―石井の思想変容の背景と契機)
石井十次の思想と実践の可能性について
著者等紹介
細井勇[ホソイイサム]
1953年北海道生まれ。1981年同志社大学大学院文学研究科修士課程修了。2007年関西学院大学社会学研究科博士後期課程修了、博士(社会福祉学)。現在、福岡県立大学人間社会学部教授。専攻は社会事業史、児童福祉(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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