内容説明
レプケのヴィジョンは、シュンペーターの創造的破壊と社会主義、ケインズの完全雇用と計画経済、またハイエクの19世紀的市場経済とも異なる。彼は「生命力があり満足のいく市場経済は巧みにつくられた文明の創作品」であると見る。競争する中小企業、競争の枠組みを監視する政府、そして景気にも耐えうる労働者で構成される社会でなければ、市場経済という「文化の畑」は荒れ果てるであろう。この活気あるヒューマンな経済社会を、レプケは「第三の道」と呼んだが、それが戦後ドイツの社会的市場経済の源流となるのである。
目次
ヴィジョンをめぐる神々の闘い―シュンペーター、ケインズ、ハイエク、レプケ
第1部 賠償・大恐慌・ナチス(荒海への船出;ドイツ賠償問題とトランスファー保護論争;大不況と雇用創出計画―ブラウンス「失業問題検討委員会」の答申をめぐって ほか)
第2部 レプケの三部作と「第三の道」(ケインズの「準好況」とニューエルサレム;リップマン・シンポジウム―リュストウと共同レポート「社会科学研究の新方向」;レプケと緊張下のジュネーブ ほか)
レプケの社会経済思想の今日的意味
著者等紹介
藤本建夫[フジモトタテオ]
1946年生まれ。1969年岡山大学法文学部経済学科卒業。1974年京都大学大学院経済学研究科博士課程修了。現在、甲南大学経済学部教授、経済学博士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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