内容説明
イギリス社会文化史家にして名うての「食いしんぼ」が、溢れる好奇心と情感を全開にして、鋭い切り口と上質な文章で綴る食と味と人生の諸相。
目次
1 食のにぎわい(ソーダブレッド異聞;うどん王国の不思議;カレーライスの国籍 ほか)
2 食のさざめき(鴎外のミスマッチ;鮨―知るは不幸のはじまりか;鍋びいき鍋ぎらい ほか)
3 食のときめき(夜の桃;鯉のひげ;野ゆき山ゆき海辺ゆき ほか)
4 食のかなしみ(絶望のスパゲッティ)
著者等紹介
高橋哲雄[タカハシテツオ]
1931年神戸市に生まれる。1954年京都大学経済学部卒業。専攻はイギリス社会文化史。甲南大学・大阪商業大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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岡部敬史/おかべたかし
71
名著ですね。日本だけでなく英国など、様々な食卓模様を、明治あたりの文献にも触れて、読みやすく書く。食エッセイの最高峰ともいえる一冊ではないでしょうか。2017/10/05
seacalf
44
これほど読みやすくて抜群に面白い本なのに、どうして登録が少ないのだろう。やや独善的でスノッブなきらいはあるが、膨大な知識量と幅広いご自身の体験談を下地にしたエッセイの面白さときたら舌を巻くばかり。そして題材の掛け合わせ方も憎いこと。小説家などのエピソードも出るわ出るわ、ふんだんに盛り込んでいるので飽きる暇もない。塩釜のさんま、絶望のスパゲッティはとりわけ秀逸。恋と革命の味、新宿中村屋のカレーを久々に食べたくなった。ダブリンの名門ホテル、シャーボーンの逸品ビーフステーキの牡蠣ぞえ。いつか絶対に食べてやる。2017/10/28
スナイデル
16
32021/01/31
sibasiba
11
ソーダブレッドから始まる食についてのエッセイ。四章に分かれていて、二章の「食のさざめき」の作家達と食についてのあれこれが好きかな。森鴎外の例の脚気の事と饅頭茶漬を結びつける視点が面白い。三章の「食のときめき」からは著者の過去の回想がメインでコレはコレで面白いが別物になっていて微妙。最終章は素晴らしい。2013/07/30
ganesha
4
英国文化に造詣の深い著者による、大学研究所のニューズレターに連載された食エッセイをまとめたもの。食に関しての旺盛な好奇心でまとめられた文章はとても読みやすく、様々な考察に感心しながら読了。英国料理に関してのものと、森鷗外、りんごについてが印象的だった。2017/11/10