内容説明
ナチス政権成立前夜のヴァイマル共和国時代のドイツ。はたしてナチス政権を阻止する可能性はなかったのだろうか。ナチスに対抗する有力な勢力として、選挙では一貫して得票率40%を保持しながらも、社会民主党と共産党に分裂していた労働者の統一戦線は夢だったのだろうか。労働者のグラスルーツ運動は断続的に展開され、ナチスのテロルに対抗しながら、共産党の路線転換をも促していく。その頂点が1932年春の「反ファッショ行動(アンティファ)」であった。東ドイツ時代から蒐集された文書館史料を縦横に駆使しながら、ナチスに惜しくも敗れた抵抗の歴史をダイナミックに描く。
目次
序章 抵抗する実像を求めて
第1章 ヴァイマル共和制末期の労働者たちをめぐる状況
第2章 「人民革命」構想(一九三〇年冬)
第3章 「ローカル」のポテンシャル(一九三一年春)
第4章 理論転換の前触れ(一九三一年春~秋)
第5章 「モスクワ」と国内世論の狭間の共産党(一九三一年夏)
第6章 ドイツ共産党の「苦悩」(一九三一年秋)
第7章 ドイツ共産党内対立の実相(一九三二年春)
第8章 反ファシズムのポテンシャル(一九三二年夏)
第9章 「共産主義の危険」とナチ政権の誕生(一九三二年秋)
終章 書き換えられる抵抗の歴史
著者等紹介
星乃治彦[ホシノハルヒコ]
1955年熊本市生まれ。1988年九州大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。福岡大学人文学部教授、博士(文学)、博士(法学)。専攻はドイツを中心とした現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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