内容説明
歴代最長の首相在任期間を誇る桂太郎。日英同盟、日露戦争、韓国併合を主導し、ついには明治国家の元勲となる。桂といえば、「保守反動」という評価が一般的であるが、本書はその生涯を辿る中で、桂が政党政治に目覚めていく過程を明らかにしていく。
目次
第1章 維新の動乱の中で
第2章 政府に対し陸軍の何者たるか
第3章 政治への目覚め
第4章 元老政治の下で
第5章 桂園体制
第6章 現状打破への衝動
第7章 最期の日々
終章 その政治的遺産
著者等紹介
小林道彦[コバヤシミチヒコ]
1956年埼玉県熊谷市生まれ。1988年中央大学大学院文学研究科国史学専攻、博士後期課程単位取得満期退学。北九州市立大学法学部教授(日本政治外交史)。京都大学博士(法学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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南北
44
陸軍軍人から総理大臣になった桂太郎の評伝。最終的に政党政治を志向していくプロセスを解明しようとしている。教科書などでは尾崎行雄の演説から「保守反動」と見られがちな桂だが、実態は異なるとしている。日露戦争勝利から軍備増強を主張する陸軍(特に山県有朋)と鉄道を狭軌のまま延長しようとすることに代表される政党の利益中心の考え方のどちらにも共感できなかった桂は新党を立ち上げていくことになる。しかし、全幅の信頼を与えられていた明治天皇の没後であることなどから大正政変での挫折につながっていくことになる。2025/01/14
バルジ
5
「ニコポン宰相」と渾名された大宰相桂太郎の評伝。国家経営構想の実現という視座で「政治家」桂太郎の相貌を描く。第一次政権での戦時宰相として難局を乗り切り、政治家としての自信を付けた桂は政友会との「情意投合」では自らの経綸が望めないとし、後の二大政党の基となる立憲同志会を創設し自ら政党指導者へと乗り出す。しかし世論はその桂の変貌を見抜けず「憲政擁護、罰賊打破」の掛け声の元で政治的に葬り去ってしまう。果たしてその一時の激情は日本の政党政治にとってプラスだったのか、考えざるを得ない。2022/09/16
あまたあるほし
2
桂の広軌支持の背景や損得勘定の植民地政策などを描く。2010/08/06
太郎
1
桂太郎を大陸政策という観点から見る試みが大変面白い2024/10/04