内容説明
ペルシア戦争、デロス同盟そしてペロポネソス同盟。これらは本書のキーワードである。今なお燦然と輝く白亜の神殿。観るものの心を揺さぶる悲劇。人間の理想的な美しさを追求する美術。人生の意味を深く探ろうとする哲学。これらは古代ギリシア人が誇る偉大な遺産である。しかしその背景には権力をめぐる厳しい対立抗争がうごめき、ポリス世界を彩っていた。本書は理想の世界ではなく、古代ギリシア人の利害の世界を対象としている。彼らの現実主義的な政治感覚がペルシア、アテナイ、スパルタですら一つの駒として動かしていたし、逆にこれらは覇権と影響力を確保するために都市内部の対立を利用し煽ったのである。本書が扱うのはこのような世界であり、闘争である。
目次
序章 古代ギリシア史における帝国と都市―分析のための課題と視角
第1章 ペルシア帝国―ギリシア人とバルバロイ(ギリシア人とリュディア人;イオニア反乱の原因;ペルシア戦争は自由のための戦いか ほか)
第2章 アテナイ帝国―帝国理念と同盟国の亀裂(アリステイデスの査定;アテナイ帝国と神話、祭典そして支配;レスボスの離反)
第3章 スパルタ帝国―帝国の基盤と帝国政策(紀元前五五〇年代におけるスパルタの対外政策の転換;スパルタの不評とスパルタ帝国;エーリス戦争とスパルタ ほか)
終章 帝国・都市・党派―帝国と都市の構造
著者等紹介
中井義明[ナカイヨシアキ]
1948年大阪府生まれ。1970年立命館大学文学部卒業。1980年同志社大学大学院文学研究科博士課程中退。2004年博士(文学)立命館大学。同志社大学文学部教授
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