出版社内容情報
【内容】
E・H・カー史観への挑戦
歪められた“理想主義者”たちの再評価から、国際政治の思想への新たな視座を提示する。
E.H.カーの『危機の二十年:1919-1939』は、戦間期の国際政治思想に関する解釈・議論に決定的な影響を与え、さらに戦後から冷戦終結までの国際政治の主流を形成したといっても過言ではない。特に彼はユートピアニズムを現実離れした理想主義と非難したが、それに属すると思われる当時のイギリスの国際政治家たちの考えは、カーが指摘したほど一様ではなく、むしろ多様であり、現実に影響を与えたものもある。冷戦後の今日、彼らの思想を再評価することは、カーの提示した現実‐理想の二分法以外の新しい視座を見出し、現在の教訓も引き出しうるのではないか。本書はこうした意図により、戦間期の国際関係を論じた思想家のなかでも、最も重要と思われる人物を取り上げ、彼らが国際関係思想の面で、どのような貢献を為したかを再検証する。
【目次】
まえがき
1 序論―危機の20年と国際関係における「理想主義」の範疇
2 フィリップ・ノエル=ベーカーと法による平和
3 デーヴィット.デーヴィスと平和の強制
4 アルフレッド・ジマーンの慎重な理想主義
5 ノーマン・エンジェルと国際関係における合理性
6 レナード・ウルフと国際政府
7 J・A・ボブソンと経済国際主義
8 J・M・ケインズ、理想主義および平和の経済的基礎
9 デーヴィッド・ミトラニーと国際機能主義
10 ロージアン卿と連邦主義の立場からの国家主権批判
11 アーノルド・トインビー、チャタム・ハウス、そして世界を視野においた研究
12 結論:戦間期理想主義・自由主義的国際主義・現代の国際理論
訳者あとがき
索 引
内容説明
E.H.カーの『危機の二十年:1919‐1939』は、戦間期の国際政治思想に関する解釈・議論に決定的な影響を与え、さらに戦後から冷戦終結までの国際政治の主流を形成したといっても過言ではない。特に彼はユートピアニズムを現実離れした理想主義と非難したが、それに属すると思われる当時のイギリスの国際政治家たちの考えは、カーが指摘したほど一様ではなく、むしろ多様であり、現実に影響を与えたものもある。冷戦後の今日、彼らの思想を再評価することは、カーの提示した現実‐理想の二分法以外の新しい視座を見出し、現在への教訓も引き出しうるのではないか。本書は、こうした意図により、戦間期の国際関係を論じた思想家のなかでも、最も重要と思われる人物を取り上げ、彼らが国際関係思想の面で、どのような貢献を為したかを再検証する。
目次
序論―危機の二〇年と国際関係における「理想主義」の範畴
フィリップ・ノエル=ベーターと法による平和
デーヴィッド・デーヴィスと平和の強制
アルフレッド・ジマーンの慎重な理想主義―国際連盟、国際教育、連邦
ノーマン・エンジェルと国際関係における合理性
レナード・ウルフと国際政府
J.A.ホブソンと経済国際主義
J.M.ケインズ、理想主義、および平和の経済的基盤
デーヴィッド・ミトラニーと国際機能主義
ロージアン卿と連邦主義の立場からの国家主権批判
アーノルド・トインビー、チャタム・ハウス、そして世界を視野においた研究
結論―戦間期理想主義・自由主義的国際主義・現代の国際理論
著者等紹介
ロング,デーヴィッド[ロング,デーヴィッド][Long,David]
カーレントン大学国際問題の準教授
ウィルソン,ピーター[ウィルソン,ピーター][Wilson,Peter]
ロンドン・スクール・オブ・エコノミックス(LSE)国際関係論の講師
宮本盛太郎[ミヤモトモリタロウ]
1942年5月生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程修了。京都大学総合人間学部教授(日本政治思想史専攻)
関静雄[セキシズオ]
1947年9月生まれ。京都大学大学院法学研究科博士課程修了。帝塚山大学法政策学部教授(日本政治外交史専攻)
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