出版社内容情報
【内容】
18世紀末から19世紀前半にかけてのドイツ・ロマン主義については、文学や哲学においては研究がなされているものの、その政治経済思想に関しては、わが国ではきわめて限られた研究しか見あたらない。厳密に言えば、それに的を絞った研究書は、これまで翻訳書を除けば皆無とも言える。
本書は、経済学における「ロマン派」の代表的思想家であるアダム・ミュラー(1779-1829)に関して、国家・経済に関する主要な諸著作を分析していくなかで、ミュラーの社会思想の全体を、その内的発展に留意して明らかにする試みである。
【目次】
まえがき
凡例/主要引用文献について
序 章 アダム・ミュラーの生涯と著作
1 誕生から青少年期まで(1779~1803年)
2 南プロイセン時代(1803~1805年)
3 ドレスデン時代(1805~1809年)
4 ベルリン時代(1809~1811年)
5 ウィーン、南チロル時代(1811~1815年)
6 ライプツィヒ時代(1815~1826年)
7 晩年(1826~1829年)
第1章 若きミュラーのフィヒテ批判とスミス賛美
はじめに
1 書評執筆に至るまで
2 『封鎖商業国家』書評
むすび
第2章 ロマン主義の生成とミュラー『対立論』
はじめに
1 F・シュレーゲルとシェリングにおけるロマン主義の生成
2 ミュラーの『対立論』
むすび
第3章 『国家学綱要』における自由「抗争」と「均衡」
はじめに
1 自由論におけるスミスへの接近
――『国家学綱要』第三・第七講を中心に
2 諸身分の均衡と分業の弊害
――『国家学綱要』第十六講を中心に
3 ドイツにおけるスミス思想の導入とミュラーの意味
むすび
第4章 フリードリヒ二世への批判
はじめに
1 「二重の代表選出」論とイギリス
2 スミスへの批判と賛意
むすび
第5章 「農業書簡」におけるミュラーの見地
はじめに
1 「商業的農業」と「孤立的農業」
2 「真の進歩」
むすび
第6章 価値論と球体的経済構想
はじめに
1 価値論
――ドイツ的・客観的使用価値論との関連で
2 球体的経済構想
――スミスの改編とトマス的自然法
むすび
第7章 貨幣・信用論と貯蓄銀行の設立
はじめに
1 発展段階論と貨幣・信用論
2 イギリスにおける貧民の増加とオーストリアでの貯蓄銀行の設立
むすび
第8章 国家・経済の「神学的」把握
はじめに
1 重層的構造の総体としての国家
2 「貨幣奴隷制」の問題点とその解決策
むすび
第9章 階級対立の認識とキリスト教的所有論
はじめに
1 「器官」としての人間の把握と階級対立の認識
2 「官職」としての農業とキリスト教的所有論
むすび
終 章 社会経済思想史におけるミュラーの位置
はじめに
1 ドイツにおけるスミスの移入からマンチェスター主義の生成に至る脈絡で
2 商業主義の弊害に対する方策とその思想史的位置
むすび
補論1 ミュラーとヘーゲル
――職業団体と統治権に着目して
はじめに
1 ミュラー
2 ヘーゲル
むすび
補論2 戦後ドイツ語圏におけるアダム・ミュラー経済思想の研究
はじめに
1 戦後のバクサとシュパンその他
2 東西ドイツの経済学史研究におけるミュラーの消極的評価
3 西ドイツ(統一ドイツ)におけるドイツ経済学史研究の進展のなかで
4 カトリック社会論からの経済思想史的・経済史的アプローチ
むすび
人名索引
内容説明
本書は、経済学における「ロマン派」の代表的思想家であるアダム・ミュラーに関して、国家・経済に関する主要な諸著作を分析していくなかで、ミュラーの社会思想の全体を、その内的発展に留意して明らかにする試みである。
目次
アダム・ミュラーの生涯と著作
若きミュラーのフィヒテ批判とスミス賛美
ロマン主義の生成とミュラーの『対立論』
『国家学綱要』における自由「抗争」と「均衡」
フリードリヒ二世への批判
「農業書簡」におけるミュラーの見地
価値論と球体的経済構想
貨幣・信用論と貯蓄銀行の設立
国家・経済の「神学的」把握
階級対立の認識とキリスト教的所有論
社会経済思想史におけるミュラーの位置
ミュラーとヘーゲル―職業団体と統治権に着目して
戦後ドイツ語圏におけるアダム・ミュラー経済思想の研究
著者等紹介
原田哲史[ハラダテツシ]
1958年生まれ。1980年福島大学経済学部卒業。名古屋大学大学院経済学研究科博士後期課程を経て、1987年フライブルク大学にて経済学博士(Dr.rer.pol.)。現在、四日市大学経済学部教授
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