出版社内容情報
【内容】
これまでのわが国のカント研究の特徴として、哲学専攻の研究者は『純粋理性批判』のみの研究に集中し、『実践理性批判』『道徳形而上学の基礎づけ』に関する研究は二次的・副次的なものとしている。また逆に、倫理学専攻の研究者において、体系的な研究者ですら『純粋理性批判』の超越論的弁証論からの研究であり、感性論分析論は等閑に付された観が強い。本研究の独自性は、哲学研究の中心概念である自由の概念がいかに有機的に関連しているかを明らかにしている点である。そのことは新カント学派のカント解釈と存在論的カント解釈を止揚しようとする試みであるということができる。
【目次】
1 カントの理論哲学
1超越論的哲学
2経験の概念
3超越論的統覚
4図式論の諸問題
2 カントの思弁哲学批判
5超越論的誤謬推理
6観念論論駁
7形式的観念論
8超越論的自由
9神の存在の理論的証明
3 カントの実践哲学
10道徳性概念
11実践的目的
12最高善
13根本悪
附録1 カントからヘーゲルへ
附録2 コーヘンの経験理説
あとがき
カントの主要著作
参考文献
索引