内容説明
まことしやかに語られるエレクトロニクス神話のなかにたゆたうセミオロジカルな小さな差異を追い求めるポスト・モダン。本書は、小さな物語が散乱する世紀末的状況にモダンの残映のなかに見失われた普遍と超越を捜し求めて棹さす、法と秩序の物語である。
目次
序章 ポスト・モダン、あるいは脱存在論的考察(模像と幻像、すなわち重ね書き再記写本の七片;モダンのパノラマと物語の衰微、すなわち主体の死、あるいは模倣混淆)
第1章 可能的世界と現実的世界(ロゴスの虚像と実像;日常という名の迷宮;現実感覚と可能感覚;複雑性の縮減)
第2章 高度情報社会と刑法(刑法の合理化と機能主義の勃興―フランツ・フォン・リストの場合;刑法の合理化とシステム理論)
第3章 比較法文化論点描(想像力の問題;いわゆる純文学と通俗小説;探偵小説の言語空間と近代刑事訴訟)
第4章 ポスト・モダンと国家論(ピュシスとノモス;国家のピュシス性とノモス;ヴァリエーションとメタモルフォーゼ)
終章 正統性の危機(フローティング・オペラ)
脱正統化
不完全性定理と希望の原理)