出版社内容情報
長年にわたる脱原発に向けた数々の取り組みやリニア中央新幹線への考察を通して、著者は、戦前戦中戦後をつらぬくこの国の構造のあり方に注目してきた。それは戦前には総力戦や国家総動員に向けて、軍部と官僚と財閥資本が一体となって構築されたファシズム形態であるが、このファシズムは天皇を頂点とした前近代的で精神的なものというより、近代の科学技術を駆使して重工業化、電力国家管理に邁進したテクノファシズムとでもいうべきものであった。
戦後になり軍部はなくなったものの、戦前のテクノファシズムを主に担った商工省は通産省や経産省になり、三菱重工業はじめ戦前からある軍需産業は、技術や装備、地所などをほぼ残したまま、自動車、電化、化学工業や原発はじめ国家と一体となった事業を新たに担い、当時の「対外戦闘力」は「対外競争力」となって、現在にいたっている。
第一次世界大戦が科学技術を駆使した総力戦であることを知った日本がその後突き進んだ重工業化、電力化の道を、軍部・政官界・企業人などの当時の史料や、数々の研究書の渉猟をとおして詳細に描き、われわれがいまを生きている21世紀のこの国の構造がつくられていく過程を徹底的に追跡する。
【目次】
序章 テクノファシズムとは
0・1 日本ファシズム論をめぐる問題
0・2 第二の開国・総力戦の衝撃
0・3 国家総動員法と電力管理法
0・4 丸山ファシズム論の問題点
0・5 テクノクラートの登場
0・6 テクノクラシーとは
0・7 テクノファシズム
0・8 「疑似革命」としての統制経済
第1章 第一次世界大戦がもたらしたもの
1・1 日本の近代と現代のはじまり
1・2 日本における電力使用の開始
1・3 電力の動力使用の発展
1・4 日本経済の工業化への変貌
1・5 日本社会の内部的変化
1・6 総力戦がもたらした衝撃
第2章 軍ファシズム運動の起源
2・1 田中義一にはじまる
2・2 永田鉄山の総動員思想
2・3 大正期の反軍・反戦風潮
2・4 宇垣一成と軍の近代化
2・5 ファシズム思想の誕生
2・6 資源問題をめぐって
第3章 軍内部の国家改造運動
3・1 軍の政治介入のはじまり
3・2 日本社会の変貌と転換
3・3 軍の政治化と統制派の誕生
3・4 陸軍パンフレットの衝撃
3・5 陸軍パンフレットへの反響
3・6 統制経済・計画経済をめぐって
第4章 急進ファシズム運動とその破綻
4・1 「昭和維新」運動の誕生
4・2 第一次大戦後の日本経済
4・3 2・2六武装クーデター
4・4 2・2六事件がもたらしたもの
第5章 テクノクラートの登場
5・1 重要産業統制法にはじまる
5・2 国家と大資本の結びつき
5・3 「満洲国」の捏造と開発
5・4 政治勢力としての官僚
5・5 「革新官僚」の社会認識
5・6 「満洲国」という現実
5・7 「満洲国」での実験
第6章 ファシズム支配の完成
6・1 戦時統制経済へのあゆみ
6・2 戦時経済への転換
6・3 国家総動員法 I 条文と内容
6・4 国家総動員法 II 反応と受容
第7章 電力国家管理をめぐって
7・1 近代国家と電力産業
7・2 軍事にとっての電力
7・3 新興財閥と電気化学工業
7・4 植民地朝鮮における工業化
7・5 「満洲国」工業化と電力産業
7・6 電力国家管理への助走
7・7 電力国家管理をめぐる論争
7・8 電力管理法の制定
第8章 「疑似革命」としての統制経済
8・1 全体主義国家に向けて
8・2 全体主義のイデオロギー
8・3 笠信太郎の理論
8・4 近衛内閣とファシズム支配
8・5 企画院官僚の思想
8・6 経済新体制と「疑似革命」
8・7 経済新体制の展開
第9章 テクノファシズムをめぐって
9・1 テクノクラ



